第12話 呼び出し

 朝一で生徒会に加藤紬が呼び出された。校内で加藤紬の存在が広く知られることになった事件だ。疲れた顔で帰って来ると机に突っ伏した。

「生徒会は何の用事で呼びだしたんだ?」

「新しいパソコンが欲しければ生徒会に貢献するか自費で購入する事って言われたわ」

「つまり?」

「部室の古いパソコンを売るのは禁止だって」

「ま、学校の備品だしな」

「生徒会に貢献って何を要求されるのかしら」

「体だろ」

 もちろん労働力と言う意味だ。

「美人に産まれた宿命ね……」

「冗談も返せないほど疲れたのか?」

「生徒会長、頭が固過ぎよ。授業が有るからお説教は短く済んだけど」

「朝一から仕事があるなんて生徒会は真面目だな」

「本当にね。美人じゃなかったら殴ってたかも」

 生徒会長は三年の斎藤恵、美人で知られた生徒会長だ。入学式で祝辞を述べていたので顔は覚えている。

「パソコン買えないくらいで暴力沙汰は勘弁してくれ」

「だってネットオークションで二十万ついたのよ、悔しいじゃない!」

「紬さんと生徒会長のキャットファイトなら金出しても見てみたいかも……」

「何か言った?」

「いいえ、何も」

「バイト頑張ってね、孝一君。私は生徒会の犬になるわ」

「そんなにパソコン欲しいの?」

「えぇ、孝一君のパソコン並みのモンスターマシンが欲しいわ」

「親父の執念のパソコンと同じパソコンならいっそ自作パソコン作った方が早くない?」

「自作……」

「親父の知り合いにパソコンに詳しい人いるから頼んでみようか?」

「予算は?」

「二十万くらい?」

「どうやら生徒会の犬にならずに済むみたいね」

「どこまで本気なんだか……。後で連絡してみるよ」

「お願いね」

「OSは何がいい?」

「Windows13」

「了解」

「腹立つからパソコンは売るけどね!」

「生徒会に喧嘩を売るスタイルか」

「あんな使えない箱置いとく方が悪いのよ!」

「無駄に場所とるしね」

「今日は部室の掃除をするわよ」

「了解」



 

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