第8話 部費とお小遣い

 最新のパソコンをスマホで検索すると十五万以上掛かることが分かった。

「紬さんや、パソコン部の部費は幾らだ?」

「ざっと三万円くらいかしらね」

「部費が七年分は必要だな」

「そもそもパソコン部で三万って誰が決めたのよ! ちょっと高いソフト買ったら終わりじゃない! 通信費で消えるじゃない!」

「eスポーツで使うパソコンならもっと高くなるだろうな……」

「パソコンでエロゲーやらなくて何がパソコン部よ!」

「あー、俺が言うのも何だが十八禁買う気だったのか?」

「Amazonさんは皆に平等よ?」

「いやいや、十八才以上か聞かれるからね?」

「孝一君。何買ったの?」

「黙秘する」

 佐々木は少し遅れている。掃除当番だろうか?

「孝一君。おこずかい幾ら?」

「五千円」

「私は三万円。バイトしないのが条件だけど」

「何その箱入り加減、女子はお金が掛かるからそれ位貰えるのかもしれないけど……」

「孝一君。バイトしてパソコン買ってくれない?」

「元々バイトはするつもりだったけど、高校生が出来るバイトでパソコン買うってハードル高くない?」

「アストロアークを学校でもやりたいでしょ?」

「俺の事アストロ馬鹿だと思ってないか?」

「思ってるわ。今もレベル上げに夢中だもの」

「人生の大半を注ぎ込んでると言っていいな」

「そんな孝一君に朗報よ」

「ほう?」

「今ならタダで人間ボットやってあげる」

「だから、バイト代でパソコンを買えと?」

「お願いできる?」

「バイト中アストロアーク出来ないんだけど?」

「バイト中に人間ボットしてあげるって言ってるのよ」

「スマホを預けろと?」

「大丈夫、検索履歴やTwitterとLineには手は出さないわ」

「本当だろうな?」

「八百万の神に誓うわ」

「暗証番号教えるから好きに使ってくれ」

 ポケットからスマホを取り出して渡す。

「携帯番号を聞く前に暗証番号をおしえてくれるのね」

「紬さんは悪い事が出来ないタイプに見えたんでな」

「そう、じゃあお礼に私の携帯番号入れといてあげる」

「遅くなっちゃってゴメン。掃除終わりに先生に捕まちゃて」

「遅いわよ望」

「お疲れ様」

「ツムちゃんなんでスマホ二台持ってるの?」

「孝一君に私の携帯番号教えようと思って」

「え? 中学時代男子からLine教えてって言われても絶対に教えなかったツムちゃんが⁉」

「おかしい? 同じ部活でこれからパソコンを買う為にバイトに勤しむ孝一君に携帯番号くらい教えてあげても別にいいじゃない」

「それなら私も霜月君の番号知りたいかも」

「佐々木さんも教えてくれるのか」

「同じパソコン部だからね」

「中学時代では考えられない事態だ」

「中学時代なんかあったの?」

「いつか話すよ」

 腐れ縁のせいでハチャメチャだった中学時代は正直黒歴史だが……。

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