第4話 捨て猫を拾う
高校までのルートを幾つか試す内に捨て猫を見つけた。
ウチは既に犬を飼っているが俺は断然猫派だった。というかすでに両方飼ってる。父親が犬派で母親が猫派、協議の結果子供たちのおやつ代を犬猫のエサ代にする事が決定。霜月家でおやつの概念が消えた瞬間である。
捨て猫をそのまま放置するのは忍びない帰り道でも箱の中に居たら連れて帰ろうと密かに決意。
「霜月家から今度は何が消えるかな……」
何かを得るには何かを失うのが必然だ。ウチにはクリスマスが無い。新築に建て替えたからだ。父親はタバコと酒を止めた。子供に使うお金は学費と食費のみである。おやつが欲しければ他所のお家で食べてきなさいが、霜月家の家訓だ。
自分と同じ制服を着た集団に付いて行く、クラスメイトではないが方向が同じなので仕方がない。
スマホでアストロアークは起動済みだ。アルトのレベルは十を超えた。兵士としての応募要項に手が届いた。兵士の訓練中は授業に集中できる。痒い所に手が届くアストロアークさんだ。リアルタイムで運営されているので夏休みやお盆休み、年末年始は戦争は出来ない仕様らしい。
目下の問題はクラスメイトに友達がいない事。同じ中学から来た人もいるので話相手は居るがアストロアークのフレンドには出来るほど仲良くなっていない。
工業高校に女子が少ないのは分かる気がするが農林高校も似たようなものだと気付くのにしばらく時間が掛かった。女子は他の二校に流れている様だ。一つは私立、一つは公立、農業高校は女子人気が無かった。制服がダサいのが一要因の気もするが加茂農林高校は百年以上続く名門校だ。近所の爺ちゃんたちに合格を報告した時はとても喜ばれた。
加茂農林高校は校則も厳しい、髪を染めるのは原則禁止だ。他にも色々あるが他の高校はもう少し緩いらしいと元クラスメイトから聞いた。
ただ、文化祭は凄いらしい。どう凄いのかはまだ分からないが……。
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