第4話

そして、里親が最後の決断を下した。中学校を卒業したら、義務教育ではなくなる為高校には通わせないと言い、部屋を用意するからそこで1人で暮らしていけと言った。

僕との関わりを持つのが余程嫌だったのか、卒業してすぐ1Kの部屋に住まわされることになった。元々自分の物はそこまで持っていなかったため、部屋の狭さに困るようなことは無かったが、中学校を卒業したばかりの子供が1人で生きていけるような優しい社会では無かった。

さらに苦しさを畳み掛けるように、里親が僕の元の両親の遺産をほぼ使ってしまっていることが明らかになった。最初の3ヶ月を何とかしのげるか否か程の金だけを持って僕は里親の家から出た。ここで僕と彼らの関係は完全に絶たれ、その後連絡を取ることは無かった。

お金が少なかったため、まずは働き口を探すべく、職種を問わず様々な仕事を探したが、高校に通ってすらいない僕を雇ってくれるところは全然見つからなかった。最終的に工事現場でやれと言われたことはなんでもやる、最低賃金ギリギリという条件で働くことになった。

学校に行ってないためほぼ全ての時間を働いて過ごし、何とか家賃を稼ぎつつ半年1年ほど過ごした。始めのうちは条件としてしまった手前振られる仕事は黙々とこなしていた。しかし、それが裏目に出た。どんな仕事を振っても黙ってやってくれる存在だと周りに認識されてしまったせいで働き始めて3ヶ月ほどで明らかに自分の仕事を押し付けてくる人が増えた。1度偉い人に訴えかけたこともあったが聞く耳を持ってくれず、結果僕の体はボロボロになっていた。

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