6話 領都へ

 あれから数日が経った。もちろん復興が終わるまで俺は全力を尽くした。まあとはいえ10歳児ができる範囲までなのだが流石に大人顔負けのやると目立つからね。目立つと面倒なのは前の世界で見たラノベと同じだ。過労死寸前の人もいたしね。そうゆうことで目立たないようにする。


 まあ兎も角、俺たちはこれから領主館へ行くそのための準備をしているところだ。まあ大体が虚無空間インベントリに入ってるからそんなに準備入らないんだけどな。迷宮ダンジョンについては向こうについてからどこか手頃なところに呼び出そうと思う。こっちに帰ってくる時はあまりないと思うからね。里帰りって言っても母さんはこっちにいるしあまり行かないと思う。



 それにそろそろ学園に入学する必要がある。今はまだ大丈夫だが数ヶ月後に入園式がある。まあ初等学園って言って小学校みたいな感じだ。まあこっちの世界では国語、数学、魔学の3教科が主な教科だ。他には貴族科などがあるがまあ俺は別に行かなくてもいいよ…な?まあ行けと言われたら行くしかないが。魔学は普通に魔法の勉強とでも思ってくれればいい。


 まあ中等学園になると普通の魔法と特殊な魔法の2種類、普通魔法科、特殊魔法科がある。普通魔法は単純に火魔法とか水魔法とかで特殊魔法は強化魔法とか生活魔法とかが当てはまる。無属性魔法は普通魔法だ。使う人あまりいないらしいけど。


 学園となると不安がないわけではない。この歳で土龍ソロウドラゴンというAランク級の魔物を倒したわけだから人並みはずれているのは間違いない。シルフィとかと比べてもどう考えても倍どころじゃないくらいステータス差が開いていた。全力を出すと注目されるのは間違いない。まあ今更かもしれんが。聞いたところによると盗賊は魔道具か何かで体を守っていたらしいそのため俺が出てくるまで盗賊の損害はゼロだったらしいつまり盗賊を1人で全滅させたのだ。軍事用語じゃない文字通りの方でね。


 もしかしたら王都に行った途端国王に呼ばれるかもしれない。もしかしたらもう既に国王の使者がこちらに向かっているのかも。そうなったら厄介だ。お金だけならまだしも爵位をもらうとなると旅ができなくなることは間違いない。


 それだけは避けなければならない。武力によって爵位をもらっている人なんて山ほど居る俺もその仲間入りは勘弁だ。まあたかが盗賊に扮した奴等だから大丈夫だと思うがもしものことを考えて行動しなくてはならない。


 その時は無礼者と言われるだろうが叙爵じょしゃくを辞退することだな。その代わりに何か別のものでももらっておこう。いやもしかしたら何ももらえないかもな。別に名のある人を救ったわけじゃあ…いや父だ。あいつを救ったことになるのか。別にそうゆうつもりはないのだが、側からみればそう見えてしまう。


 まあ父らしいし、そんなことはないか。まあ行く途中に何か別の貴族とかを助けたら話は別だろうけど。今盛大なフラグが立ったような気がするがまあそんな事はない…多分…いやきっと大丈夫だろう。


 そもそもそんなに距離ないしね。そんなことは起こらないだろう。まあ全て推測なのが恐ろしいが。


「準備できた?」


 アンジュからだった。まあそんなに準備する物ないしとっくに準備などは終わっていたのだが。


「ああ」

「シルフィたちも終わったって早く行こ!」


 なぜかやけに機嫌がいいアンジュと共に領主館まで行くという馬車に乗る。6人乗り馬車とはいえ4人は子供なので実質8人乗れる。中にいるのは俺とアンジュ、シルフィ、アリスの4人と母さんと父さん、そして護衛らしい兵士2人。もちろん兵士2人では護衛など務まるわけがないため、前後に6人乗り馬車の計14人の兵士が護衛だ。とはいえ盗賊などは20人ぐらいが普通なのだが兵士だし盗賊ぐらい人数不利でも倒せるだろう。


 流石に俺を護衛換算ではないはずだ。まあ10歳児だし期待してもらうと困るのだが流石にね…そんな事はしないだろう。


 実は俺も護衛換算だったとするのはこの後のことだ。流石におかしくね?子供を護衛にするなよ。俺が居なかったらもう2台ぐらい追加してたらしいつまり12人分の働きをしろということだ。まあこの時の俺に知る由はないのだがな。


 馬車の中はとても静かだった。まあ喋ることもないし当たり前なのだがまあシルフィ達には話すことあるけどあまり知られたくない迷宮ダンジョンの話だ。2人は身内(片方は身内だと認めたくないが)だがまだいいがもう2人つまり兵士は完全な護衛であるため部外者というのもおかしいが身内ではないのだ。そもそもこのことはあまり広めたくない。


 迷宮ダンジョンにはいろいろな機能があり、メニューでその機能を動かせる。DP《ダンジョンポイント》で部屋などを追加できると言ったがその追加できるものの中には何故かシュークリームとかの前世の物も入っていた。


 しかも何故かゲーム機もあった古いゲームはもちろん最新のゲームもあった。そしてゲーム機もあるならばと見てみるとマンガもあったしスマホもあった。Wi-Fi入ってるのか?というか発電機とかもあったしダムとかも設置できるようになっていた。なんだこれ。


 ともあれこんなことがあるのだからいろいろと利用されるのは分かりきっている。もしかしたら俺のところの迷宮ダンジョンが特別なだけかもしれないな、前の世界での物なんて使い道わからないだろうし。


キャアアアアアアア!


 突然悲鳴が聞こえた。あれだなフラグ回収ってやつですね。へし折りたかったなあ。いやまだ偉い人だとは決まったわけじゃないから(震え)


「叫び声が聞こえたな。すぐに向かわせろ」


 と父が言うと御者が


「はっ!」


 と言ったかと思うとすぐに鞭で馬を叩きスピードを上げる。前と後ろの馬車もつられて一緒に速くなる。













ー数分後ー


声的にはそろそろだと思うんだが見えた!あと1kmぐらいの距離だ。見たところ魔物…ってあれオーガじゃね?なんでこんなところに。それにどこかで見たような紋章な気がするけど…あっ!ソフィアたちの馬車だ。え?なんでここまで来たの?それに見たところ護衛が少ないような…お忍び?いやこれはお忍びできているな。布が破けた跡があるし、それで破けて紋章が見えてしまったんだろう。


 いや今はそんなことはどうでもいいか。早く助けなきゃな。ここで間に合わなかったら気分が悪い。


「オーガか流石に部が悪いな。奇襲を仕掛ける。準備しろ。初撃でどれだけ減らせるかだぞ」


 オーガ程度ならどうとでもなるか。全く父の話を聞いてなかった俺はすぐに飛び出した。


「っ!おい待て!」


 まずは鉄剣で行くか。この程度ならこのままで十分首を飛ばせれるはずだ。いや一応保険をかけておこう。


《身体強化×2》


 これだけかければ充分だろう。さっさと終わらせる!


ザシュ!


まずは一体!


「えっ!?」


 突然現れた俺に周りの兵士は驚いた。まあ当たり前だろうこんな子供がここに出てきたのだ。驚かないはずがない。だが気にしてる場合じゃない。オーガはあと少なくとも数体いる。


 そう考えた俺はすぐさま隣のオーガの首を飛ばし、続けてその隣の首もとばす。しかし見たところ何名か怪我しているらしいし見た感じ死んでいるものもいそうだ。すまんな回復魔法得意じゃないんだ。一応中級までならできるがそんな程度じゃあ俺よりも強い回復魔法使いぐらいいるだろう。


 そんなことを考えつつオーガを圧倒していき遂に最後の1体の首を飛ばした。これで終わりかな?まあ終わりじゃなきゃ困るんだが。


「ええと?どちら様で?」


 そんなことを言われなくてもそろそろ…


「ご無事ですか?!」


 予想通り俺たちの馬車が到着したらしい。


「おやそちらの方は…エドワード様ですか。もしかしてそちらはお子様で?」

「ああ、急に馬車から飛び出しおってな」


 なんか話始めちゃったよ。まあおっさんの話聞いても仕方ないし。ソフィアが無事か確認しなきゃね。そう思い馬車に近づいて扉にノックをする。


「ひゃあ!」


 驚かせちゃったか。


「ソフィア?俺だよボランだよ」

「え?」


 驚いた声が聞こえると勢いよく扉が開いた。おかげで鼻ぶつけた。まあいっか。


「大丈夫?ってあれ?そっちは誰なの?」


 てっきりソフィアだけかと思ったらもう1人同じぐらいの歳の少女がいた。なんか高貴そうな服身につけてるな。ソフィアより豪華なんじゃない?姫様なのかな?いやそんなわけ…


「ボランは初めてあったわよね。セリナよ」

「ん?セリナ?それって確か第3王女だった気が…」

「そうよ!」

「うわ!」


 突然セリナに話しかけられ顔を近づけられびっくりする。急に入ってこられるとビビるんだが。あと近いです。とても顔と顔の距離が


「なによ失礼しちゃうわね」

「いや今のは誰でもびっくりすると思うぞ。とりあえず近い」

「ああ、ごめんなさい」


 なんだこの人。全く性格が掴めない。


「なんでこんなところまで来てるの?」


 とりあえず置いておいて本題を聞くことにした。何か用事があったんだろうか?


「確かあなたの村襲撃されたのよね」

「ああ、そうだけど。情報が早いな」


 確かバルクリ村から王都までは1週間かかるのだが。あれからちょうど一週間が今日だよな?監視でもされていたのだろうか?いやする必要がないよな。あいつにとっては盗賊のふりしたやつに狙われるのなんて日常茶飯事なのだから。


「えっ、ええと、それは…」

「ああ、答えたくないなら無理に言わなくてもいいよ」


 何かあったのか?そんな重要な物なんてあの村にはないぞ?まあいっか。大したことじゃなさそうだしな。


「えっと、それで襲撃されたなら手伝いがいると思って行こうとしてたのよ」

「ああ、そうなのかもう終わったぞ」


 終わったから今から領主館に行こうとしているのだ。


「え?そうなの?早いわね」

「そんなに被害なかったしな。これから領主館に行く予定なんだが一緒に来るか?」


 一度襲われたのだ。これからは一緒にいた方が安全だろう。盗賊とか怖いし。


「ああ、そうするわ。セリナもそれでいいわよね」

「ソフィアがいいならいいわよ。元々ソフィアが行きたいって言い出したんだから」


 ん?今更ながら考えると俺はすごいことをしたのか?いやだって王女と公爵の娘でしょ?王都に行きたくないな。国王からの使者が来そう。いやもういっそのこと開き直るか?いやそれは嫌だ。旅したいもん。異世界に来たら冒険者になってなんぼってもんよ。異世界の醍醐味が冒険。そう言っても過言ではない。異論は認める。


「じゃあ行こうか。ちょっと待っててね」


 そう言って俺は馬車から出た。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


長くなったのでに分割したのでタイトル詐欺気味になってます。ご了承ください

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る