4話 バルクリ村襲撃事件の影響

 バルクリ村を盗賊が襲った事件が発生したことは瞬く間に王都どころか他の国家にも伝わった。理由は至ってシンプル。1人の少年ーー主人公ーーが事件を解決したからである。しかも解決方法がほぼ全滅である。このことがきっかけでその少年の名前は広がることになる。


ーオスクラジア王国王都リステンブルク王宮ー


余の名前はヴァルクス・フォン・オスクラジアでありこの国の国王である。今日はこれから会談があるというのに宰相が余の元にやってきた。お主はこれから税金の確認があるだろう。


「なに?1人の少年が盗賊を全滅させただと?」


 しかし余の元に信じられないことを言ってきた。言った通り、1人の少年が盗賊を全滅させたというのだ。


「はい、盗賊は20人近くいたのですが1人を残して全滅。村も機能を停止させました」

「犠牲者は何人だ?」

「30人ほどと聞いております。しかし3割を消滅させております」

「そうか。何か困ることでも起きたか?」

「特産物などは特になく困っておりません」


 しかし1人の少年がやったのか…これはよく確認する必要があるな。


「わかった。もうよい」

「はは」


 王はベルを鳴らすと1人の人物がやってきた。その人物とは暗部総司令官の男だった。暗部は公爵以上の存在でないと存在すら知らないもので名前はなくコードネームで呼ばれる。


「陛下何用で?」

「例の事件の調査だ。かの少年が我が国に害をなすかどうか。信用に値するか調べてこい」

「はは、承知しました。必ずや陛下のご意向に合うようにいたします」


 とりあえずはこれで良い。敵対するようなら消さなければならない。敵対しないのなら取り込めるだろう。


 会談に行かなければ

















ーロマリア教国教都マロムス神殿ー


 わしはロマリア教国の教皇である。他の国で言う国王とか皇帝とかの立場の人間だ。一番偉い人ということである。

 そんな立場のわしだが信じられないことを聞いた。

 少年が1人で盗賊を倒したというのだ。


「なんだと?1人の少年がか?」

「はい、それとあくまで噂とのことですがほぼ全員が殺されたとのことです」

「なんだと?ありえない。狂っているのか?そいつは」

「いえあくまで噂ですので詳しいことは…」


 少年というからには魔物なんかは見たことはあれど戦ったことなどないだろう。それなのに盗賊をほぼ皆殺しとは…


「密偵に直ぐに調べさせろ。最重要項目の一つに追加だ」

「はい、わかりました。失礼します」


 少年の年齢で人を殺せるのならばいろいろと活用できそうだ。まずは情報を集めさせてその後回収しよう。

















ーモンスサ共和国首都サルレイ政治中枢地区ー


 私はケイム・ヒィン・ドロルであり、このモンスサ共和国の首相である。


 ある日、執務室のドアからノック音がした。


「どうした?」

「報告があります!」

「そうか、入れ」


 入ってきたのは外交担当の男であった。外交で何かあったのか?それとも外国で何かが起こったのであろうか?

「報告とは?」

「実は…


 報告の内容はボランのことであった。


「それは本当か?」

「はい事実確認を取れております」


 そうか…。それは処分も検討しなければならない。結構な確率でオスクラジア王国に取り込まれるだろう。そうなれば厄介である。危険な芽は早めに取り除かねばならない。しかしまずいのはこの国が民主主義であることだ。


 取り除いたとしてもこのことがバレれば次の首相にはなれない。つまり秘密裏に処分をしなければいけないが、盗賊を1人で文字通りの全滅となると秘密裏に倒すのは無理があるな。精鋭部隊でも送る必要がありそうだ。バレずにいくには少数でいかなければならない。


 盗賊のせいにしようとも数が多すぎるとどこかの関与が疑われてしまう。そうなれば私も入るであろう。そうなればまずい。


 しかし今しばらくは様子見をしておこう。うまくいけば取り込めるかもしれん。民主主義の国がいいという人かもしれんしな。
















ー???ー


 静寂な部屋にノック音が響く。


「失礼します!」


 部屋の中には執務室の部屋のようなテーブルがあり椅子には1人の男が座っていた。


「どうした?」

「オスクラジア王国の例の子供が…」


〜説明中〜


「そうか…。俺の予想通りだな」

「ええ…。この後どう動くのか見ものですね」

「しかしこう予想通りいくとは気味がわるいな」


 そう、この2人にとって今回の出来事は予想通りであり、主人公の行動が重要になってくる立場にある。


「そうですか?これからのことに支障がなければいいのですが…」

「これからのこと…か…。なんとも言えないな。だか今のところ問題はない。進めてくれ」

「わかりました。それでは失礼します」

「ああ」


 1人きりとなり再び静寂が訪れる。そこに独り言が響く。





「ボラン・ルイス・ヒューイット。君はどう動いてくれるのかな?




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