15話 銃作り


 「こんな感じでいい?」


 翌日、迷宮ダンジョンでシルフィと2人で銃作りをしていた。


「うん、これで大丈夫かな」

「ほんとう?よかった…」


 シルフィは土魔法は一切触っていなかったらしく、感覚を掴むのに時間がかかってしまった。今は昼頃だ。


「じゃあ、そろそろ昼ごはん食べよっか」

「わかったわ」


 シルフィがそう言った数秒後にアンジュとアリスが来た。


「お昼食べよ!」

「お昼ご飯だよ」

「わかった、すぐ行く」

「「はーい」


 この日のお昼ご飯は前に説明した朝食よりはマシ程度だ。まあここの村は貧乏ではないけど豊かでもないしな。前の世界の基準になるには貴族くらいだろう。その程度を求めるのは酷というものだ。しかも下級じゃなくて上級じゃないといけなさそうだしな。


「これからどうするの?」

「そうだな。まあやることがないしけどダラダラ過ごすのはな」

「魔物も倒せないしね」


 まあ俺は魔物を倒せるがこいつらもできるかと言われると無理だろう。かろうじてシルフィが土魔法が初級のLv7だ。やはり称号の効果はすごいのがわかる。実質4倍の速度で進むからな。


 まあ加護の影響もあると思う。明らかに4倍ぐらいじゃないし一度に5も上がったからな。まあ治癒魔法は遅かったの多分その系統の魔法の才能が少ないのだと思う。多分上限があるんじゃないかな。普通は5なのに3だったからな。まあそれでも十分早いけど他の異常を見るとどうしても見劣りする。


 シルフィは確か…どのくらいで上がったかな。今までに合計75ぐらいだったかな。失敗作はそれよりも少ないが部品で分けてるのでそれは仕方ないだろう。一体で作ることは不可能だからな。


 装填できないし、装填方法は弾丸のみを入れるので非効率だったりする。おそらく十回でレベルが上がると思う。これは個人差があるしシルフィの才能がいいのかは見当がつかないので参考程度だろう。


 俺は素振りでもしようと思うステータス上の聖級はただの補助に過ぎないくて技術はステータス上に出てこないのだ。つまり俺の場合はレベルが上がるのに技術は上がっていないということになり完全に歪というか不思議なことになっている。それにこの子のは見る人が見ればわかるからな。そう考えると剣術や魔法の師匠が欲しい者だ。まあこんなところにそれほどの猛者がいるわけないのだがな。


 何よりここはただの村だ。変わったところは何もない。


「だったら結局どうするの?」

「それが悩みどころなんだよな」

「だらだらしちゃう?」


 それは避けたいな。せっかく異世界に来たのにそれはなんかもったいなく感じる。


「それはなんか嫌だって言ったけど…」

「そんなの別にいいじゃんたまにはだらだらしようよ」

「まあそれもありかもね」


 アンジュに加えてアリスもそれに同意した。もうそれでいいか?


「そうね、ここは何もない平凡な村だものね」


 シルフィもかよ。じゃあ3体1じゃんか。ここは俺が折れるしか…しかしまあ素振りはアニメや漫画で見たことがあるが多分テニスとか卓球とかの素振りと同じ意味だと思う。それを身につけて基礎をつけるみたいな。あとは単純に剣は重いから体力ーーここではステータスの体力ではなくスタミナの方ーーや筋力をつけるのが目的なのもあると思う。あくまで予想だから信用はあまりできないけどね。まあそれが一番あるかな。


「まあ俺は剣の素振りでもするよ」

「持てるの?」

「片手剣ならいけるけど大剣とか両手剣は無理かな」


 特に持てなさそうなのがハンマーである。この世界のハンマーって鍛治用ならいいけど武器なら持てないほど重いと思う。大太刀おおたちとかも無理だ。


「でも鉄剣なんかあるの?」

「一応持ってるけど初めて作ったやつだから耐久性とかないよ」

「なん…ああ、ゴブリンのやつを使ったのね」

「鍛治スキルを持ってないから耐久性がないの?」

「まあそれもあるね」

「じゃあお兄ちゃんはそれでいいとしても私たちはだらだらする?」

「私は銃作ってるわよ」

「そっか、シルフィお姉ちゃんはやることあるんだっけ」

「お前達も魔法の練習とかしたらどうだ?」


 アンジュたちは魔法を使ったことがないらしい。ちなみに生活魔法が使えるのは50%ぐらいらしい。つまり4人いれば2人はいる。俺たちは俺とアリスが使えるから比率通りだな。


 まあそれは置いといて確か…アンジュが火でアリスが雷だったな。火なら殲滅戦が得意だったはずだ。全体的に範囲攻撃が多かった気がする。


 それと違い雷は単体攻撃の狙撃タイプだった気がする。範囲攻撃もあるが神級には超電磁砲レールガンという狙撃魔法があったはずだ。


 一発一発が時間がかかる上に当てるのが難しい。最大射程は10kmなのだがその遠さには当てることは裸眼だとほぼ不可能、ていうか不可能だ。つまり実際使うのは100mとかが主だ。


 スコープを作ればいいのかもしれないがあれは構造を知っていても意味がない。あれは構造を知っていてなおかつ技術がなければならない。変化の魔法も万能ではなくフィギュアを作ろうとすれば結構な技術がいる。手先が器用じゃないと無理だろう。それくらい繊細なのだ。


 まあ今はまだ雷どころか他の魔法も最大が聖級だから今そんな話をしても意味がない。パワーレベリングでもしなければ一生縁のない話だしな。


 まあ俺は強制的にパワーレベリングされてるのだがまあ10歳になっても神級ではなく王級が最大っぽいよなこのレベルの感じを見ると一度でレベルが上がるのも王級だと止まりそうだ。


 俺がそんなレベルなのに他の人ができるかと言われたら無理だろうな。せめて身を守れるぐらい強くなって欲しい。


「そっか私たちまだ使ってなかったね」

「じゃあさ、お兄ちゃん使えるんでしょ?教えてよ」

「それくらいは良いぞ」


 このあとはアンジュとアリスにそれぞれの魔法を教えた。まあ要らないとは思うけどな。俺も最近使い始めたばかりだし全ては加護のおかげだ。経験がないのであった方がマシレベルだろう。魔法に関しても師匠が欲しいものだ。
















 一週間後


 そろそろ良いだろうな。みんな魔法のレベルが上級とは言わなくても結構上がっている。おそらくまだ子供だから覚えるのが早いのだろう。前の世界も幼い頃から始めていたものはプロになったりしてたしな。


 魔物は迷宮魔物ダンジョンモンスターでいいだろう。人型のはまだ抵抗がありそうだし、まあ俺の場合はゲームのようなものだと思ってるからいけるのかな。VRゲームみたいなものだと考えればある程度はいけるだろうが…まあ人間とかは殺したくないな。盗賊も牢屋に入れるとしよう。それが安定だろう。前の世界のハイファンタジーものだってそうしてたしな。


 話が逸れたな。まああいつらはそんな耐性もないだろう。VRゲームもないだろうしな。


「それじゃあ魔物大事に行こうか」

「え?もう?」

「もうそろそろいけるんじゃない?」

「いやまあ確かに中級まで入ってるわね」

「俺は初球でも倒せたしいけるだろう」

「お兄ちゃんそれはおかしいよ…」

「初級で倒せるとか普通初級は牽制だよ?」

「そうなのか」


 やはり俺は知らないことが多いようだ。まあ経験がないしな。まあ初級が牽制だとわかってるアリスもおかしいけど。


「まあ行くか」

「ん?!初級は牽制だって言ったよね」

「ここにいるのは全員魔法使いだから詠唱する時間ないよ?」

「あ…俺詠唱破棄あるから」

「普通スキルは持ってないよ?」

「?普通にゲットできるけど」

「スキルポイントもおかしくなってない?」

「1Lvで5ポイントだけど」

「そこがおかしいのよ。普通は1ポイントなの」


 そこも加護でおかしくなってるのかもしれない。


「それで結局魔物退治はどうするんだ?」

「もっと後でもいいと思うよ」

「半年後か?」

「それでも早いけど…お兄ちゃんがいるならいいと思うよ」

「じゃあ半年後でいいな」

「「「うん」」」


 次は半年後だな…

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