10話 別れの時


 あれから一週間が経った。俺としては随分、公爵家との縁を結んだはずだ。ちなみにエルドールさんはこの一週間は農作業を手伝っていた。人生初体験だそうだ。じいちゃんになったらこう言う生活も悪くないと言っていた。

 俺は農作業はキツそうだから冒険者になったときに貯めた金でのんびりしようと思う。その頃にはみおもいるだろうし、一緒にのんびりしようと思う。

 沙耶さやはこっちの世界に来たら何するのだろうか?

 俺たちと一緒に過ごすのだろうか?


 今考えても仕方ないな。こっちにくると決まったことではないし。今日でソフィアとエルドールさんのお別れの時だ。

 昨日、公爵家の人が来て明日場所を持ってきますって言ってたから今日中に帰るのだろう。

 一週間とはいえ楽しかったな。

 充実した一週間だと思う。多分もうそろそろ迎えがくるはずだ。


 行くとしようか。









村の入り口


「お兄ちゃん遅いよ!もうそろそろ来ちゃうよ?」

「ごめんごめん。ちょっと考え事しててな」

「考え事って…なんで今なの?」

「ごめんって」

「誠意が感じられない」

「ごめんなさい、悪かったと思う。多分…」

「多分って…」

「あ、来たみたいだぞ?」

「あ!ほんとだ!」


 気づけば村の入り口に豪華な馬車が2台来ていた。多分一つは護衛用だろう。二つとも同じだとどっちにいるかわからないしね。

 前の世界でもやってた気がする。


「行っちゃうな…」

「また会えるよね」

「いつかは会えるんじゃないか?」

「まあ縁があれば会えるかな」


 次に会うのはいつになるのだろうか?意外と近いかもしれないしもしかしたら10年20年後かもしれない。

 いつかは会えることだろう。この世界の平均寿命は60年だ。治癒魔法があると言っても病気は対応してないくて医療技術が発達してないからこの数値になっている。


 俺は今7歳だから後53年あると言うことだ。長い話だな。まあ加護があるから寿命までは生きれるとしてその後どのくらいまでいけれるのだろうか。

 遠い話だ今考えてもどうせ忘れるだろうし考えるだけ無駄だろう。


「ボラン!アンジュ!また会おうね!」

「ああ」

「うん!また会おうね!」

「シルフィにアリスもまた会おうね!」

「うん!」

「うん!」

「じゃあいくね」

「ああ、元気でな」

「またね!」


 そんな会話をしたのちにソフィアは馬車に乗り帰っていった。またこっちにくるのだろうか?

 まあこっちの方面に行くときに寄り道して欲しい物だな。この村何故か子供が少ないから。男の子が俺入れて3人、それに対し女の子は7人。つまり男女比が凄いことになってるのだ。

 しかも俺以外の男の子は畑仕事してるから遊ばないしな。

 女の子の方も残り4人はやることがあるみたいで遊べないみたいだ。

 つまり村で遊んでるのは俺とアンジュ、シルフィにアリスの4人だけだろう。ソフィアもいたが帰っちゃったしな。


 赤ちゃんが今2人いて妊婦が今1人いるから後3人は増えるだろう。とはいえ病死の可能性が高いから油断はできない。


 この時期で怖いのはペストだろう。致死性100%のやつもあるし何より三回も流行したし日本にも確認されたからな。

 別名黒死病とも言われる物だ。

 そして絶滅した街や村があるからな。ここも廃村になる可能性があるのだ。


 話が逸れたな。この世界は医療技術があまり進歩していない。化学でさえ魔法よりの研究をしているからな。魔法に頼ってばっかで病気を甘く見ていると言っても過言ではない。

 とはいえ俺は医者などではないのでどうすることもできないのだが、つまり考えても仕方ない。


 この世界ではガンは不治の病だ。まず癌細胞の存在は分かっているが取り除くことができないのだ。まほ絵で無理やり癌細胞をはかしている。そんなことを知れば癌細胞が残るので再発は必然なのは俺でもわかる。

 つまり不治の病とされているわけだ。


 癌ならば学校で習ったからできるかも知れないな。いやいやそんなはずはないか。医者を舐めてはいけない。あの人たち高学歴だもんな。


 あれ?確か生活魔法の聖級で万能辞書があったはず。確かあれは前世のところの知識もみれるとか。でも消費魔力がエグかった気がする。別の世界だから一つ調べるのに1万とか2万とかかかるらしい。

 でも今は生活魔法が聖級まで行ってるので一応使えるな。魔力も多いから560万あるからな。あれ?普通に使えるじゃん。魔力は一度寝て朝になったら回復してるし魔力の心配はなくていいかな。


 今日から何しようかな?そうだな。万能辞書が使えるなら、銃とか戦車とかも作れるはずだ。まずは銃を作ろうかな。


 弾は前の世界と同じじゃなくていいから魔力弾マジックバレットを利用できそうだな。


 迷宮ダンジョンは格納庫として使うのもありだな。今はそれしか使い道がないからなんか作ったときの格納庫や倉庫といった役割にしておこう。

 使える時が来るかはわからないが魔物も育てたほうがいいか?まず戦車とか作っても効くには効くと思うが意味があるのか?

 装甲つけなくてもいいのではないか?装甲は意味をなすのか?という問題がある。

 ただの鉄だとダメなのではないか。ミスリル合金を使うべきなのではないか?


 ミスリルはちなみにいうと現実には存在していない鉱石でこの世界のミスリルは合金になるとその合金は元の素材よりも2割ぐらい強度が高くなり魔道具が作りやすくなる魔導伝達度が高くなる。

 見た目は銀ではなく深い青でグラデーションがかかっている。


 どこで見つかるかというと鉄や石炭のように鉱脈がある。鉱脈の数は少ないがその代わり一つの鉱脈で何万tものミスリルが見つかる。

 質がいいものは何千ピソぐらいだ。


 話がずれたな。戻すとしよう。戦車や銃を作るにしても1人では大変だから、誰かに手伝って欲しいな。幼馴染のシルフィとアリスは確かこんなかんじだ。


名前:シルフィ・クヴァイン

種族:人族

性別:女性

年齢:7歳

Lv:1《次のLvまで2》

体力:10/10

魔力:50/50

ランク:なし

称号:バルクリ村の少女

魔法:土魔法 初級Lv:1

スキル:なし

加護:自然神の加護 Lv:3



名前:アリス・クヴァイン

種族:人族

性別:女性

年齢:7歳

Lv:1《次のLvまで2》

体力:10/10

魔力:50/50

ランク:なし

称号:バルクリ村の少女

魔法:雷魔法 初級Lv:1

   生活魔法 初級Lv:1

スキル:なし

加護: 武神の加護 Lv:3


 こんな感じだ。スキルの大賢者を使えばわかるがそれは失礼だからダメだというのが解析系の暗黙の了解だ。


 とはいえ俺はスキルを使っていないのではないか?大賢者に関しては使う必要がない。解析鑑定しなくても知っているものばかりだからだ。


 たとえばこの村の木はクリの木やカルの木などの果物の木がある。クリは甘くすり潰すと砂糖の代わりになるものだ。カルは辛く前の世界で言う唐辛子のような役割だ。


 この村は基本的にこの二つの木にできたもので稼いでいるが特にクリの木はこのクリではここら辺にしかないようで高く売れるのだとか。


 話がずれたな。シルフィは土魔法だから銃や戦車が作れるな。まあ全部作っても意味はないと思うが特に戦車なんかは使わないだろうから。完全にロマンとコレクションだな。


 それにもしも軍人の異世界人とかがいたら渡せるしな。まあその人が悪く使わないって言うのを見定めなければならない。


 一応、正解者があるがあれは嘘しかわからないからその人の本質まではわからない。

 それに本人が嘘だと自覚してなければ発動しないスキルだ。


 意外と欠陥がある。


 それにしても2人とも苗字があるな。クヴァインは普通に知っていたが…ならなぜ俺には苗字がないんだ?確か奴隷だとなかったけど確か奴隷紋とかいうのが首にあるのだ。それに奴隷だと首輪をつけないといけないとかあった気がする。


 それを考えると俺は奴隷ではないのだがそれならなぜ俺には苗字がない?まあわからないことを考えても仕方がないか…。


 さてとそれよりも迷宮ダンジョンの入り口を移動させないとな。今のままじゃ遠いし、俺の部屋に隠し扉として作るのもありだな。


 しかしそのままさせたものじゃせいぜい布を被せるくらいしか偽装できないから空間を作ってそれを使って移動させるのがいいかな。


 あれ?空間作成は王級だな。じゃあ仕方ない。多分迷宮ダンジョンに隠し扉があると思うからそれを応用するとしよう。それかクローゼットにパスワードをつけてそれを入力したときのみ迷宮ダンジョンに入れるとか


 まあおいおい考えておくとしよう。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る