隠された真実






 今日も今日とて俺は怠惰を貪り食らう。


 ヒカリさんとの約束でクラン戦をした俺だったが街を歩くだけで「ルールブレイカー」「ルールブレイカー」とうるさい。


 前よりもイジメが酷くなりつつあった。


 だから宿に引きこもっている。


 クラン戦をやろうにもリクエスト通知が半端じゃなく溜まっていた。


 リクエスト通知でプレイヤーを追い詰める手法は聞いた事がある。


 クラン戦をしたい相手に【1円】以上の参加費を負担してクラン戦を優先的にやって貰う機能だ。


 不思議なのがこういうプレイヤーを追い詰める時は最低額の【1円】だけを負担してリクエストを送り続けるという物だがミースティアの連中が可笑しいのか参加費を全額負担してくれている。


 俺からしてみれば願ったりなリクエストだ。


 裏があると俺はそう思っている。


 何が狙いなんだ!


 サクヤとアカネはジョーカーと遊ぶと朝から街へ行っている。


 過保護なロイヤルがジョーカーの外出を良く許したと思うが昔よりも丸くなったのだろうと勝手に納得する。


 久しぶりにログでも漁るかとミースティアの戦闘ログを見る。


 アカネとサクヤのクランを見つけて投げ銭を入れる。


 スカートがヒラヒラとして目線が誘導される。


 クッ! なんてスキルだ。


 女の人だけの六人でクラン戦をしているようだ。


 サクヤとアカネの二人の可愛さレベルが高いのは当たり前だが周りのレベルも高い。


 流石人気があるクランは華がある。


 最近の物になるとレアスキルも使っていた。


 使いこなしてはないのかまだ慣れていない様子が伺える。


 戦闘中にスカートがヒラヒラと舞うのはセコイ気がする。


 対戦相手の男プレイヤーも見惚れて隙を自ら作っているシーンも何度かあった。


 気持ちは分かる。



 自分が戦っているシーンのログを確認してみるが華がないのは分かっている。


 自分の最適解の擦り合わせにしかならない。


 俺の最新映像は罵倒で埋め尽くされて見る気にもなれない。


 コメントを切って視聴する。


 俺がヒカリさんに勝った後にミースティアのクランホームに呼ばれたが話す内容はスタンピードロストとソロのクラン戦の件だった。


 救ってもらった褒美と最上位クランに勝った報酬をとヒカリさんが言い出したからレアスキルだけで充分ですと断った。


 この国の人達に貰った恩を少しでも返せたなら俺はそれでいい。


 スタンピードロストで名前を失った他の国は名前を冠する国も出てきたらしいラクリガルドは即座に名前を取り返していたと聞いた。


 シオンは俺が昔憧れたプレイヤーの一人だからな。


 男としてならヒカリさんからウザがられてもアタックを続けていた事は凄いと思うしプレイヤースキルは確実に最上位だ。


 アフィリンスという国が仕掛けたジョーカーの召喚だったがロイヤルの登場で計画は崩れ結局は復興の手伝いをするはめになっている。


 俺が心配する事はないと思うが親友のトモヤの国は無事であって欲しい。


 そんな事でへこたれる奴ではないがな。


 俺はヒカリさんとの話し合いで妙な事を耳にした。


「スタンピードロストの責任だがアフィリンスがやった事というのは最上位クランしか知らずにプレイヤー達には伏せてある」


 ヒカリさんが口にした事だがもしそうだとしたら。


「この国ではないが他の国では生活を脅かされたプレイヤー達の思惑は耳に入ってきている」


 未開の地にある国アディショナルを目指す輩がいるのか。


 アフィリンスがやったという事を伏せたらジョーカーを倒そうと動くのも当然だと思う。


 他の国と連携して未開の地に足を踏み入れれば国と国の境は無くなり同じフィールドで共闘することも可能だろう。


 被害を受けた国は数えるだけで八もある。


 その国の奴らが本気でアディショナルを目指せば到達するだろう。


 どれだけのプレイヤーが被害を受け打倒ジョーカーを掲げてるのか。


 その数は尋常ではないはずだ。


 ヒカリさんはそれだけを言うと話を切り替えていた。



 


 そんな会話を思い出しながら戦闘ログをベットに横になりながら見てると。


 サクヤとアカネが楽しそうにジョーカーと買い物や遊びを満喫してる姿が脳裏に浮ぶ。


 あの三人の笑顔が曇る事はあってはいけないよな。


 俺はベットから飛び起きると久しぶりに未開の地へ行くことを決心する。


「ロイヤルにでも会いに行くか」


 呟いて早速宿から飛び出した。





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