森田さん帰還

 森田さんが帰ってこない10日目私は高熱を出した.....。

「もしもし、あ、時任です。ほんとすいません。あの、できる仕事は家でするんで、依頼データお願いします。」

「いいよ。今日はゆっくり寝なさい」


私は会社に電話した。響さんが出た。


あぁ、なんてこった。とりあえず寝てなおそう。

私は常備の風邪薬を飲んで眠る。


私の頭あたりに何かが触れる気配.....

頭を撫でて、おでこを触る人の手 冷たい手?

目を開けると飛び込んできたのは 白猫たかし??

いや私、熱出して夢か幻覚みてるな..... 。


「ま、真琴さんっ。大丈夫ですか?」


え?やっぱり本物?!

飛び起きた私はその本物と思われる森田さんに飛びついたのだった。


「わっわぁ…!真琴さん、だ 大丈夫ですか?!熱いですよ....か カラダ」

「森田さん 生きてましたか、どうして何も.....私 しんぱいでじんぱいで.....」


こんな大人になって、こんな泣き方するとは思わなかった。部屋着で熱だして頭ボサボサで、人前で。森田前で。


「す、すいません。あ、真琴さん?」


 なかなか離れない私に諦めたか、観念したか、森田さんは私を抱きしめた。

しばらく会ってなかったけど、抱きしめ方が上手になった気がした。だって、包まれたらとても安心したから。

最初の板みたいなぎこちなさは無かった。


「もしかして、ま 真琴さん、風邪ひきましたか?」

「......はい」

「薬は?」

「飲みました」


 じっとこちらを見て静止している森田さんの表情は少しいつもより大人に見えました。いや、実年齢は充分大人ですけど。

何やらあらたまった様子の森田さん。


「真琴さん」


「はい」


「僕が戻らなくても気にしないでください」


「......え」


「そんな、無理です。気にします」


「いえ、もし、僕が一ヶ月戻らなければ、この家を出て暮らしてください」


「え?なんなんですか。そんな怖い話しないでください」


「こ、怖い話?僕はお化けじゃありません」


「ちが....う。森田さんが居なくなるのが怖いんです!」


「あ あ、そうでしたか.....」


なんだかね、この会話......掴みどころがないというか、伝わらないというか。


「あの!じゃ、戻れなくても迎えに来ます。一緒にいられるように」


あぁぁ益々訳がわかりません。


『離れても絶対迎えに来るからな』

って言いたい?

いや、迎えに来てどこへゆく.......。


「寝てください 真琴さん」

「あ、はい。」


 いったいどんな任務で音信不通な10日間も.....。特に負傷を負っていたような形跡もなし。

あ、トイレ。私はリビングへ出た。


すると、森田さんが料理しながらキッチンで私に話しかける。


「真琴さん!チョコレートお好きですか?」

「え あ はい」


 みると、SINGAPORE(シンガポール)と書いたマーライオン?タツノオトシゴみたいなチョコレートのボックスがテーブルに。

え?シンガポールに居たの?!丸わかりなんですけど。普通極秘任務で、お土産買っちゃあかんでしょ。

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