休日を過ごす

チュンチュン チュンチュン

鳥がさえずる....私の隣には森田さん

すやすや寝息を立てている


あっ!森田さん眠れたの?!


「あ!」

「わあっ!」


いきなり、起き上がる森田さん.....

振り向くなり私をぎゅっとし、


「真琴さん!僕 眠れました!ぐっすり!」

「あぁ よかった....です」


自分がするのでは無く、急にぎゅっとされると.....驚きとトキメキと

えっトキメキ?


「あっすいませんっ」

「いえ いいんですよ」

「じゃ もう少し このままご無礼を」




『もう少しこうさせて.... 』


はいっどうぞ。森田さんはよく寝た朝はあまりどもらない。



―――今日は休みだから日光浴、森林浴に行こう!



家族連れが多い大きな芝生エリアの先には雑木林が広がる大きな自然公園

山と一体化して、ちょっとした登山も出来るようだ。


「どうします?林?山?芝生?」

「んんと.......」


あぁ森田さんは、どう見てもインドア派


「じゃせっかくだし、山には入りましょう〜」


私は森田さんを引っ張り山へ。

一応歩ける道みたいなものがある。獣道に近いけど。


と、しばらくいや、もう1時間は歩いてる。

引っ張って行ったはずの私はヘトヘトだ。森田さんは、全くペースが落ちない


「あ 真琴さん疲れましたか?」

「ハァハァ あっ はい。すいません」

「ちょっと休みましょう」


と、その時です。私が座り込んで、見た先に不気味にゆっくり地を這う私の天敵、ヘビ!!


「ギャーっも 森田さん ヘビ、ヘビです」

「え?どこ?」

すごいスローリアクション.....ちょっと もっと急いで 逃げるぞ 走るぞ!!!

私はたまらず、森田さんにへばりつきます。


「はははは 大丈夫ですよ。ジッとしてれば」

「でも〜」

ヘビは本当に居なくなった.....


「真琴さんといたら、楽しいです。でもいいんですか。こんなことに時間使わせて」


おっと妙に今日は、スムーズに話す森田さんにこっちがどもりそうです。


「そうですか?私、森田さんに助けてもらいましたから、それに.....会社から森田さん居なくなると、ちょっと寂しかったんで」


あれ?何言ってんだ。たしかに、寂しかった。隙間から覗いてもらえない喪失感。森田ロスは他の社員も同様に感じてるはず。


「私から、せめてもの恩返しです」

「つるですか」 

「はい?」

「あ、鶴の恩返し...です。正体みたら居なくなるやつ....」

「あぁ。私が鶴?ですね。」


木々に囲まれた山の中で森田さんは、静かに微笑んだ。何も語らずただ微笑む彼にぴったりの美しい景色だった。



+++



夜寝る前に森田さんがなにやらケースを取り出し、

「これ、測ります。」

ん?あっあの体温計みたいな。


ピッピッ

「243です」

「あっ下がりましたね!けっこう」

「はい!ありがとうございます。真琴さん」



セロトニンが上り癒し効果が出れば、この不明な不安度数値は下がる。

数値が下がったことがとても嬉しい!

仕事で私のバナーデザインが選ばれた時より嬉しいかも.....


この人が、何者かどんな人生を送ってきたのか、なんにも聞けないけれど....私はただ森田さんを放っておけない。なんだろう

母性?

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