森田さんのお願い

――――ピンポーン


わあっきたきたきたきたっ。

「はい」

「あ 森田 です」


玄関を開けると、いつもの森田さんがいた。

「どうぞ」

「お邪魔します」


「昨日はすいませんでした。」

と言ってお茶を出すも、まだ立っている森田さん......。

「狭いですが、座ってください」 

「あ はい では」


何やら凄く緊張している森田さんを前にこっちもより緊張する。


「あの」「あの」

「あぁ どうぞ」

「あ いえ、森田さんが話あるっていうのを聞かせてください。」


あれ、森田さん?

じーっとまた私を見て停止

この人、実はロボットでした!とか?


「僕は森田 隆史です」

「あ はい 知ってます」


「名前は、偽りありません」

名前は?え、他は偽り?

女でしたとか?


「ぼ 僕は さ 30 です。」

「え?歳ですか?」

「は はい」

え、まあ26が30になっただけ。だけど、何故年齢を偽る必要が?


「ぼ 僕は特殊な事情で、あの会社にいました。」

「......はい」

「怪しい者ではありません」

いやいや、充分あやしい.......年齢詐称、特殊な事情って。


「あ え 僕の セラピストをお願いします」

と言い、いきなり頭をささっと下に下げる森田さん


え?

はい?なにそれ?


はいはーい!質問です。


「えっと、それは何ですか?」


「あん ぼ 僕はある種の機密の仕事に就いています。 いえ、そ そのなんというか。今は詳しく言えません。で、ですね.......僕の精神状態がかなりふ ふぁん 不安定です。で、セラピストを持てと、でないと仕事にな なりませんので。」

「上からのし 指示です。」

「僕の所属する、は いや そっ組織のようなものの」


「はあ......それは、善の方ですか?」


「え?」


「あ、悪いものではなく、人を救うというか、善悪でいうなれば、良い方ですか?」


「あ はい。か 極秘の為言えず、す すいません。」


こんなどもって.......極秘任務とか出来んのかな、この人


「そのセラピストの内容って、何ですか?」

「こ この 僕を癒やしてください」


「癒やす?」


「は はい。真琴さんに害は無いようにします。」


たしかに、私はこの人に助けられたし、恩を仇で返すわけには.....

正座してまたじっと見てるし。無言の圧力......いや私が断れない質なだけ。


「はい わかりました」

「え」

「わかりました」

「い いんですか!!!」

うわあ すんごい笑顔......森田さん


「じゃ、移動します」

「はい?移動って?」

「引っ越しです。」

「どこに?」

「う うちです」


はへ?!


トゥールルードゥトゥルトゥルトゥルトゥル

「はい 森田です はい。了承取れました。はい。頼みました。違います。了解。」


え、普通に話したよね?今、その電話!すっごい普通でしたけどっ。



「あの、どうして私に?」

「あ あ、それは 僕は 僕には真琴さんしか、頼れなくって......」

............。


『俺には君しかいないんだ』

と言ったことにした。

うん.....いいよ。引き受けた。

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