ま、またもや事件
今日は夏希の結婚式。朝から美容室でボブとかに憧れ続けていても微妙なくせ毛で仕方なく長めにおいている髪をアップにセットしてもらい、紺色のサテンワンピースを着て肩からショールをかける。ん?なかなかのもんですな。私も捨てたもんじゃないっ。なんて自惚れたものの、
夏希とは中学の同級生。残念ながら他に私の知り合いは来ないみたい。
神戸の海沿いにあるホテルの式場で、ポツンとぼっちであった。
式は親族だけで、披露宴的なものから参加した。
はぁ〜素敵だわっ。夏希が女神のよう。
私は祝辞も余興もしないから、観客のように座る。
花嫁から両親への挨拶
中学の頃からの夏希の姿が浮かび、私はいつの間にか次から次へ涙を流していた.....。隣近所にこの感動を分かち合う人がいない、ピンで出席しているのに。
披露宴も終わり、忙しそうな夏希にちらっとおめでとうを言い残し帰ろうとした時
「真琴ちゃん!真琴ちゃん!」
誰かが呼んでいます。
走り寄ってくる笑顔が爽やかな男前は、夏希のいとこだか、はとこだかの、たしかケンちゃんです。
「久しぶり!10年?うわっ俺らもすっかりアダルトだな〜俺のこと覚えてる?」
「ケンちゃん?」
「そう!ケンちゃんだよ。」
昔は野球部で丸坊主だったのに、随分と、、、カッコよろしくなってるではないか。
「真琴ちゃん、キレイになったね!いや中学んときも素材は良かったよ」
「あぁありがとう。ケンちゃんもすっかり......」
「二次会行かないの?」
「誰も知らないし、披露宴出れたからいいかな」
「じゃ俺も行かない!真琴ちゃんとどっか行く。待ってて!」
私は歩いて駅を目指した。
柄にもなく、ケンちゃんの誘いは断った。シロツメクサの話が何故か頭から離れない。
小さな決心だってした。もう、ちょこまか期待して付いてかないぞ!
カップルがたくさん出没してる。
この辺りはデートスポットで夜景も綺麗。
ちょっとそりゃ、うらやましい.....
電車に乗って乗り換えて、また乗ってやっと着いた駅。家帰ってから出るの面倒だな〜。
私はワンピースのまま、駅から逆方向のスーパーに寄った。
いつの間にか日暮れていた。また駅を通り帰る道で、誰かがついてきてる気配がした。深夜でもあるまいしきっとたまたま同じ方向の人なんだ......。
早く帰ろっ。早歩きで、家を目指す、家に向かうとよりひとけがない道になるのに、私はコンビニか駅に行けばよかったと今になってバカさに気づく.......。
遅かった。
足が動かない、私はいざという時ヘタレだ。
誰かが背後から口を押さえていった
「こっちは見んなや、振り向いたら刺す」
右から刃物を見せられた.......
声も出ない恐怖で震えた
めったに着ないワンピースの裾を持ち上げられる....
涙だけが静かに頬をつたう
・・・・・ッバタン
あれ 後ろの人が倒れた
私は恐る恐る振り返る
そこにはまた、あの人が立っていた......
色白の戦士 森田さん
私は声が出ない
「真琴さん」
声は出なかったけど、後ろのおっさんが起き上がってきたから指を指した
森田さん 危ない!!
と、森田さんは振り向きザマに足で回し蹴りし
おっさんの刃物持つ手を蹴り飛ばし、道路で馬乗りになった。
すぐに警察が来た。
私は何がなんで誰がどーしてこーなって
もう分からない。
警察にやっと、帰り道に後ろから襲われかけたと話し、森田さんが送ってくれる。
「......大丈夫ですか?」
「森田さん......私.....今回ばかりは......」
「....あの...抱きしめてもいいですか?.....落ち着くと思います。」
不自然なくらい直立不動の森田さんにの胸にそっと身を寄せた。
するとほんとに、そおっと私の背中を支えてくれる......森田さんこれ....抱きしめったって言えますか......。
でも......あれ、華奢に見えた体はそうではなかった。
さっきの戦う姿も.....この人はいったい.....
家まで送ってもらい、森田さんはいつものように帰ろうとした。
「一緒にいてもらえませんか」
私は森田さんを家に入れた。
「......何か飲みますか?」と聞いたのは森田さん。
私はまだ正気を取り戻していなかったようだ。
台所でパタパタ扉を開け閉めし、森田さんはお茶を淹れてくれた。
「あぁすいません いただきます。」
森田さんは何も言わずお茶を飲む私を正座してじっと見ていた。
落ち着きを取り戻した私は、ふとこの状況が不思議なことに気づく。
「......あ 真琴さん 着替えなくていいのですか?それ、ドレス」
「あぁ」
そう言われ部屋に行き部屋着に着替え戻った。
あ?部屋着に.....
デロンデロンに伸びたピンクのスウェットを見た森田さんはちょっと笑った。
「ははは 私 普段こんなんでして」
「.....に 似合ってます」
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