事件に巻き込まれる
馬鹿馬鹿しい出会いを求めるのはやっぱり止めよう。過去にすがるのも止めよう。
と、小さな決心をした。自然に任せるのだ。人生は時には流れ行くまま身を委ねてみよう。
委ねたまま.......おばさん、いやましてや、おじさんになったら、それは困るけど。
昼休み、吉田さんとカフェのテラスでランチする。
「最近どー?まこちゃん」
「なぁんもないですよ。よく森田さんには会いますね」
「えー!?はーあ?森田に?」
「はい。約束してじゃ無くばったり。家近所なんです」
いや、ばったり会うのいつも家付近ではないけど。
「へー。あいつ元気?」
「はい。もう、青白く無かったですよ」
「あいつは謎だったよなあ。まこちゃん来てから楽しそうだったけど。辞めちゃったしな〜」
あれで、楽しそうだった?前はじゃあもっと病んでたのか.......こわっ。
「私はさ、彼氏にどーも避けられてんだよねっ。もう一ヶ月も会ってないしっ」
「一ヶ月?!それ付き合ってるっていいますか」
「ちょっと!ひどいねっまこちゃん」
「あぁすいませんっ。」
「もう別れよっかな〜。」
「やっぱり結婚とか意識します?よね。」
「そりゃね。もうラストチャンスが近いのにさ、もたもたしてらんねーのよ。こっちは」
「はあ。」
結婚かぁ、私には縁遠い話よ。
そう、結婚といえば今度私は、中学からの親友、
夏生まれの夏希のお誕生日に結婚式。
会社帰り、夏希のお誕生日プレゼントも一緒に渡そうと、私は百貨店に寄った。
優柔不断で、結局決められず百貨店の地下にある小さなクロワッサン量り売りを買って帰ることにした。
改札を抜けて大阪駅の階段を登りホームに行くと、なにやら騒々しい。人だかりが出来て叫び声がした。
「救急車 よべーっ!」
「通り魔や 逃げよった」
「女や女ー!」
え....通り魔
ホームにいた人がまた改札から出ようと、階段はパニックでごった返す、私は足が動かずホームに立っていた。
駅員さんが何か言っているがよく分からない。
横を通った人が私の右腕をかすった?
と共に誰かが私を覆った
一瞬の出来事と、通り魔、救急車、女?
覆いかぶさったのは、あの色白の戦士だった
「......森田さん」
「大丈夫ですか?」
放心状態の私を連れて、森田さんは歩き違う階段から降り、改札を出た。
「あの、さっきは何が」
「あれ 真琴さんの横に来た人が多分通り魔でした」
「え?」
「ね?これ」
見ると森田さんの右腕に傷
「えー?!も 森田さん 血が」
「すぐ止まりますよ カッターだったんで」
「いやいやいやいや」
私は女子力高めるためいつも携帯してる、絆創膏セットを出しペタリと貼った。
「消毒しないと。どうします?もし変な菌とか毒とか塗られてたらカッターナイフに!!」
「.....これは ネコちゃんの」
可愛いピンクの絆創膏を貼られ、私の心配などよそに、森田さんは少し笑った。
普段と違い、こんな時に笑うなんて余裕の彼。もしや血を見ると落ち着くタイプですか?それはそれで怖し。サイコ.....
「ホームで倒れた人どうなったんだろ.....」
「真琴さん狙われてましたよ。下手したら....」
「あ そうですね。森田さんが居なかったら。森田さんありがとうございました。」
「あ いえ その お礼が欲しいんではなくて。し 心配です。」
『俺はおまえが心配だ 守ってやる』
と脳内補正したら、目の前の美青年にこんな時でもきゅんっとしてしまった。
「どうやって帰りましょうか」
「ど どうしましょか」
「クロワッサン食べます?」
「え?あ はい」
大阪駅を出たバスターミナル近くで百貨店で買ってたクロワッサンを二人で無言で食べた。
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