安売りするな?
由美子と私は婚活をのため、街コンとかいうただの飲み会かよってのに参加したのが先週末。
私はそこで出会った一人の人と食事に行く。
「真琴さん、なんて呼べばいい?」
「会社ではまこちゃんです。」
「かっわいいな。まこちゃんかあ、じゃ俺はマコにしよう」
この人はきっと、見た目こそ誠実そうな身なりしてるが、なかなかチャラ男とみた。元チャラ男?
話しながら斜めに顔向けて指でポリポリ頭掻きながら上目遣いが.....。絶対俺カッコイイだろと思ってるでしょ?
はぁ......なんとなく誘われてなんとなく食事してなんとなく言い寄られて。
私の恋なんて、そんなもんっ。
大恋愛なんて、どーやったら出来るのか!
気を使ってこうして食事すると、疲れる。
私は人疲れが激しい.....魂吸い取られそうなマシンガントークが相手ならなおさら。
早く帰ってチョコレートバク食いしたい。脳が糖分を欲している。
部屋着で焼酎飲みたい......。
「マコ!送るよ」
「いえいえほんと、大丈夫です。帰れますんで」
「いや送るよ」
そんな会話をしながら駅へむかう。
「電車乗ったらすぐなんで、今日はありがとうございました。」
で、普通はこうなったら帰ります。大人なら。
「ちょっと〜送らせてよ。最寄り駅までっ心配だよマコ」
あなたが一番心配です。とてもしつこい......。
しつこいっつってんだろーっ!
「いえ本当に....」
私の腕を掴むこの人はなかなかのクセモノでした。
はあ、めんどくさいなぁ。
「つっかまえたっ!もう離さない」
酔っ払いか?
駅に入る前の横断歩道渡ったあたりで私を後から羽交い締めにするのであった。
周りの人は酔っ払いのじゃれ合いと認識。
「ちょっと離してくださいっ ちょっと!ほんとに」
「あっ......真琴さん」
そう呟いたのは羽交い締めに合う私の前に立った森田さん。
森田さん!救世主あらわる!
「森田さん、わた....し」
「あっ すいません。」
え?森田さん?どこに行くの?森田さん?
......ただの男女のじゃれ合い.....邪魔したら悪いと思ったみたい。
私はフンっと力を入れてこやつを振り切る。
さすがに本気の嫌がりようをみて、リリースされた。と思ったらっ今度はチューしようとしてくる
「キャ―――――ッ」
「や ややや や やめろ〜」
力なき色白の戦士が戻ってきた.......。
「なんだおまえ」
「ぼ ぼくは 森田だ 森田」
「マコ またな〜」
「森田さん.....ありがとう。すいません。私変なところばかり、情けない.....」
「あ あははははは 大丈夫ですよ。気にしません。」
急に奇妙なくらいに笑う森田さん。
完全に目は笑ってない....ね。
「か 帰りましょう 真琴さん」
「はい」
「よく会いますね。私達」
「あ そうですね。あの、さっきの人、もしかして 婚活の.....?」
「はい。難しいですね....恋も、婚活も。私まともに恋愛らしい恋愛、いや大恋愛とかしたことなくて。社会人になったら出会いも無くて。こんな調子です、いつも。うわべだけの、薄っぺらい」
「僕は、恋を知りません」
清々しいくらいに言い切った森田さんは、何故か堂々としてみえた。
この人は、私が出会ったことがない程の美男で、出会ったことがない程ときめかないし、全く掴めない.....。
「あ、でも.....真琴さんは素敵な人です。親切で頼りがいがあって優しい。そ それに、....び 美人だとおもいます。......シロツメクサみたいな」
「シロツメクサ.....?あの白い?」
頼りがいがあるシロツメクサ?もう理解不能です....。が、とにかく褒めてくれてるよう。
「......だ 大事にしてください。真琴さんは大事にされるべき人です。」
「は はい。ありがとうございます。」
きっと今日の、あれを見て
『あんな、チャラ男に安売りすんじゃね〜ぞっ』
って言ったと私は解釈する。あ....ちょっと素敵に見えてしまった......。
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