時任 真琴です。よろしくお願いします。

 今日は中途入社で入った会社に初出社する。何事もはじめが肝心!朝から念入りに身だしなみチェック。最高の私でいかなくっちゃ。

堂島のオフィス街にいる私は、巨大なビルへ入った。

エレベーターが6つあるオフィスビル。

一階はレストランやカフェ、本屋さん。


かなりの大手が入るビルに、その会社はあった。なんだかキャリアウーマンになった気分.....。


入口は指紋認証と、個人コードを入力する。


なんで?私の指紋に反応なし。登録まだってやつ?.....


「あ それ 指カサカサだと反応ないんですよ」


なに失礼ねっ。まるで私が潤いないみたいな.....言い方


振り返れば綺麗な顔の青年が立っていた。


「そうなんですね」

顔の皮脂でも付けようかとしていたら、彼が開けてくれた。

「ありがとうございます」


そのままオフィスに入る。

100人くらいが、電話の前にいる。

その人達の、後ろを通り、奥に行くとパーテーションで区切られた所に10席ほどのデスクが島を作っている。


向かい合わせでくっついた状態。

パソコンが各席に。

まだ誰も来ていないようだ。


私はメモを見つけた。一番上座からひとつ手前に

『新人さん ココ↓』

とりあえずそこに座り、文房具とメモ帳は出した。


あら?さっきの人が私の前に座った。

パソコンのモニターと本体の隙間から私をのぞいて、

「あっどうも 森田です。森田 隆史です。」


隙間から見える絵に描いたような目が不気味なくらい美しいけど、なんで隙間から......怖っ。


私は立ち上がり挨拶した。

「時任 真琴です。よろしくお願いします。」

先輩であるはずの森田さんも立ち上がり、お互い深々とお辞儀していた。


と、そこへぞろぞろと男性陣が入ってきた。

「おーっ!今日からだよねっほら!部長キタキタまこちゃん!部長が美人さんやから手出すなって言ったのわかるわ。」


あ...まこちゃん?美人?お世辞ありがとうございます。

と言うよりなにそのテンション高い......。

そうか、関西支社は地元、関西人もたくさんいる。


今朝の静寂は営業のゴリこと後藤さんにより一瞬で消えた。


「おはようさん。時任さんやね。ほな今日から頑張ってや〜歓迎会は、今晩な。」

と、部長。


「はい。時任 真琴です。よろしくお願いいたします。」


特に自己紹介もなく、この広告代理店で私はウェブデザイン担当として、新たな生活をスタートした。


私はもの凄いハズレくじを引いた。

部長は右の上座に居るのだが、スリッパに履き替えたらしく.....ぽあ~んっ超臭かった。足の臭いが.....酢に腐った魚漬け込んだみたいな、飛行機持ち込みNGのベトナムの醤油みたいな臭いよ......。

この男性社員達め!私と森田さんを犠牲にしたな。

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