第2話:初恋の自覚。そして失恋
確信を持ったのはその数日後だった。その日、俺達は彼女に呼び出され打ち明けられた。『自分は同性愛者だ』と。
「女の子が好きなのは気付いてた。ちるに言われて気づいたが正解だけど。『女の子同士で付き合ってるなんて普通は考えない』なんて言ってごめん」
俺はあの日のことを素直に謝罪した。すると彼女は「君のそういうところ凄いと思う」と泣きそうな顔で笑った。
「……酷いこと言ったって気付いてくれてありがとう。あの言葉は……本当に痛かったよ」
「……ごめんな」
「……いいよ。許す。あの時は凄く傷付いたけど、君なら分かってくれるって信じてたから」
「……聞いても良いか?」
「うん。何?」
「海菜は女の子しか好きになれないの?」
彼女がそれを肯定した瞬間、ぎゅっと胸が締め付けられる。その瞬間、俺の彼女に対する好意は、ただの友情では無かったことを確信した。いつからかは分からない。けれど、いつの間にか俺は、彼女に対して独占欲を抱いていた。親友という立場では満足できなくなっていた。同性しか好きになれないと言われてしまえば、付き合える望みは一切なくなってしまう。それがショックだったのだと、皮肉にも今、ようやく理解した。
「彼女が初恋だったけど、この先男性を好きになるとは思えない。男性と付き合うことは想像出来ないんだ」
「……そうなんだ。打ち明けてくれてありがとう」
「二人には知っておいてほしかったから」
「そっか……」
俺は知りたくなかった。男性も好きになれると言ってほしかった。
そんなこと言えるはずがなかった。
自覚したと同時に打ち砕けた俺の恋を、海菜が居なくなったところでちるに打ち明けると、涙が溢れて止まらなかった。彼女は俺が泣き止むまで黙って側にいてくれた。
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