第28話 5日後~終わりの始まりは、予想外の光景と共に~ メラニー視点(4)

「顔が、痛いぃ……!! 熱い……!! いたぃぃ……!! なぜぇ……っ!? なぜぇぇコブがぁぁ……!?」

「呪いの反動ですよ。呪いが他者の干渉によって止められた場合は、術者にその全てが返ってくる仕組みのようです。……参加者の皆様、こちらのコブに見覚えはありませんか?」


「ある…………あります…………。ハレミット様のそれと、数が同じですわ……」

「数だけじゃなく、位置も一緒ですわ。全部が、同一……」

「こんな事、自然には発生しませんもの……。呪いは実際にあるんですわ……っ」


「そうですね、呪いは存在しています。そして一見すると、非常に便利な力に思えますが――。こういった代償、そしてもう一つ、更に恐ろしいものがあるのですよ」


 それは、あとでお伝えいたしましょう――。テオドール様は周囲へと一礼を行い、再びわたくしに顔が向いた……っ。


「呪いをかける。そんな重罪を犯した上に、地位を使ってパーティーに参加をさせて笑いものにする。これらの暴挙の報いを受ける時が、きたのですよ」

「あっ、貴方――お前の行動が暴挙ですわ!! わたくしは信じていたのにっ!! あんなにも喜んだのにっ!! よくも騙したわねぇええええ!! 裏切ったなぁぁぁぁあああ!!」

「メラニー様、ご冗談は休み休み言って欲しいものです。勝手に信じて喜んだ貴女が悪いのですよ? 大方発熱によって、自分へと好意が、と考えていたのでしょう。恨むなら、陰湿かつ低レベルな策しか浮かばない、その頭を恨んでください」

「っっっっ!! この……っ!! この……っっ!! 許さない……っっ!! 絶対に――ぎぃぁ!? ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいっ!!」


 声を荒らげていたら、更に熱くなって激しい痛みが走り始めた!!

 どうして!? 顔の変化は終わったのに!! コブは完全にできたのに!! どうしてまだ異変があるんですの!?


っ!! おまえっ!! わたくしに呪いをかけましたわねっ!? そうなのねっ!?」

「僕は、呪いのかけ方を知りません。仮に可能であっても、そこまで堕ちませんよ」

「嘘よっ!! やってるんだわ!! 大好きな人を攻撃されてたことが許せなくて手を染めたのよ!!」

「僕の周囲にはその気配は一切なく、そして、こういった事例は周辺国でも他に発生していません。ということは恐らく呪いの指南本は、貴女が見た何か以外現存していないのでしょうね。……だとすると、その原因は自らにあるのではないのでしょうか?」

「バカ言わないで!! みっ、みんなっ、この男も呪いを使ってるのよ!! 同罪よっっ!! わたくしはコブができるようにしただけでっ、こんなのは――っっ!」


 そう、いえば……! そういえば……!!


『顔中コブだらけにしてやりますわぁ。それと、ふふふふふ。その際にたっぷりと、地獄の苦しみを味わうといいですわ……!』


 あの時わたくしはっ! 火傷をしたような熱さと鞭で打たれたような激痛が走るように設定したっ!! だから……っ。だから……っっ。

 それがこれから……。たっぷり、やって来る……!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る