布製仮面
不謹慎かもしれないけど、都合のいい世の中になった。
余計に暑い、息苦しいと、大抵の人は不満顔。でも私は慣れっこだった。昔からオールシーズンの必需品だった。
何を考えているか分からない子と言われてきた。愛想のない子だと言われてきた。それでも良かった。慣れっこだった。だけど。
「ここは家の中だよ。外して大丈夫だよ」
私の部屋を訪れたあなたが言う。悪意なんてないことは分かってる。でも怖くて仕方がない。
「私、妖怪だから。逃げたほうがいいかも」
おどけた口調だけど半分本気。だって本当に醜いから。
「じゃあ妖怪さんの笑った顔が見たいな」
心が、揺れる。この心にかけられた呪いを、あなたなら解いてくれるのかな。
世の中が元通りになったら、私も白い布とさよならできるのかな。
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