婚約発表 ※リーシャ視点

 

 ※リーシャ視点

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「ここにグリー第2王子とオグラン侯爵家リーシャとの婚約が正式に決定したことを発表する!」


 舞台袖で待機しているところで、舞台の端に立っている婚約発表式の進行役の声が聞こえてきます。

 そして、この婚約の意味と必要性の説明の話しに進んで行きます。


 年上だから、長女だからと何かにつけて私よりも先に色々な物を手に入れていたあのお姉さまから、婚約者を奪うことに成功した。しかも、相手はこの国の第2王子。これでお姉さまよりも上の立場になれたし、王族に仲間入りすることも出来た。

 お姉さまが抵抗できないように、ぎりぎりのタイミングを見計らって話を持ち掛けて、お姉さまの出鼻をくじけたのはとても良かった。

 まあ、下準備はそれよりも前からしていたのですけどね。


 出来れば、もう少し悔しそうな表情を見たかったところだけど、元よりお姉さまはあまり感情を表に出さないので仕方ないと割り切りましょう。


 進行役の説明が終わり、私たちが舞台に上がるよう、指示が来ました。


「リーシャ、いくよ」

「はい」


 グリー第2王子が私の手を引いて王城にあるエントランスに向かって進んで行く。


 今まで遠目でしか見たことが無かったのですけど、何て見目の良い王子様なのでしょうか。このような方がお姉さまの婚約者だったとは、今では私の婚約者ですから嫉妬はしませんが、憎らしい事です。

 お父様も何で私ではなく、あんなお姉さまをこのような方の婚約者にしてしまったのかしら。まあ、今は私の婚約者なのだから過ぎたことね。


 グリー第2王子には女癖が悪いという噂がありますが、それはおそらく好み目に嫉妬した醜悪な子息によって広められたものでしょう。嫉妬とは醜い物ですね。


「今日になっていきなり婚約者が変わったことには驚いたけど、前の子よりも君の方が断然かわいいから、俺としても嬉しい」

「ふふ、ありがとうございます」


 やっぱり受け身なお姉さまでは、このように素晴らしい方の相手は務まらない。私こそ、この方の隣にふさわしいのよ。


「さあ、皆の前に行こう」

「ええ」


 エントランスの中でも一際高い場所へ、グリー王子の隣を維持しながら出ていく。するとそこには多くの国王や貴族がこちらを見上げ、出て来た私たちに注目していた。

 お姉さまが婚約者だと知っていた一部の貴族が、私が婚約者として出て来たことに驚きざわついていますが、国王が事前に知らせなかった者たちなのでしょう。という事はこの国にとっては必要ない有象無象なのでしょう。気にする必要はありませんね。


 ああ、なんて素晴らしい光景かしら。どうしてか歓声が少ないのが少し気になるけれど、そんなものは些細な事よね。


 ふふ、皆が私を羨ましそうにこちらを見ている。特にどこの家かもわからない子女たちが恨めしそうに私を見ているのが、実に良い気分だわ。この中にお姉さまが居ればなお良かったのですが、立場上来られませんからね。仕方ない事です。


 さて、これが終わったらお父様と約束したことを進めて行かなければなりませんね。忙しくなりそうですが、使用人に指示を出してやらせれば済むことです。さっさと終わらせて、王族としての優雅な生活を満喫することにしましょう。


 ああ、そうです。こちらでの生活が落ち着いてきたら、あのお姉さまへさらに嫌がらせでもしてみましょうか。

 ふふ、楽しみですね。

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