大都会[合宿]

例の山田くん ver.K

大都会岡山

「まもなく、岡山です。

山陽線・瀬戸大橋線・宇野線・伯備線・津山線・赤穂線・吉備線はお乗り換えです」


正午前、新幹線の車内に響く到着案内の放送。

そう、わたしは今岡山に向かっている。


なぜ向かっているか。

それは単純にネット上で「大都会岡山」といわれるこの都市が一体どんな都市なのか興味を持ったからだ。


わたしの中では今までは山陰や四国へ行くときの乗り換え地点という認識でしかなかった。

しかしそんなことを聞くとどんな街なのかが無性に気になってきたのた。


車内放送を聞くうちわたしの乗っている新幹線がホームに到着する。


「岡山、岡山です。岡山、岡山です。ご乗車ありがとうございました。

この列車は……」


新幹線の乗降扉が開いてホームへ降りると構内放送がすでに流れていた。

ホームを歩いて改札を出ると、西口と東口の案内看板が頭上に見える。

見ると西口は後楽園・岡山城、東口は岡山コンベンションセンターに行けるらしい。


「後楽園って確か日本三大庭園の一つだっけ。

わたしは庭園とかお城とか特に興味ないし、どうするかな。

コンベンションセンターも用事ないし。

あ、西口方向に路面電車って書いてあるから路面電車にでも乗ってみるか」


そう思い西口方向に歩く。

ホームの階段を下りたその先にある街の風景を見た。


「あっフーン」


あえて明言しない。

言うとすれば思っていたほどでは全くなかった。


「と、とりあえず、路面電車に乗るか」


わたしは気を取り直して路面電車の乗り場を調べる。

乗り場は駅前の交差点からすぐそこにあって、地下道から行けるらしい。


わたしは地下道を通って路面電車の発着ホームに着く。


「路面電車も1両なのね」


すでに発着ホームにいた路面電車を見て思う。

わたしの生まれ故郷では3両や5両編成の路面電車が当たり前のように走っているので1両の車両しかいないことに素直に驚く。


ふとそこで路面電車の路線図がどうなっているのかスマホを使って調べる。


「路面電車の路線はかなり少ないみたいだ。すぐコンプリートできそう」


そう考えわたしは今ホームに停車している路面電車に乗り込む。

それから数分で路面電車はホームを発車する。





「あっという間に制覇してしまった」


岡山駅前の電停ホームでわたしはつぶやく。

路面電車に乗り始めて1時間そこらで全路線走破してしまった。

なのでまた路面電車に乗って事前に調べた停留所周辺の観光スポットを巡っていく。






「思ってたほど都会じゃなかったけど、そこそこは楽しかったな」


午後6時。

路面電車で回れる観光スポットや聖地を回った後、岡山駅に来たわたしは新幹線に乗り込む。

そして新幹線が岡山駅のホームを発車する。


「次は違うところも行ってみるか」


そう思いながらわたしは岡山を後にした。


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