ロリ()巨乳にハメられました
「しらない?」
「ま、まて、本当に知らないんだよ!あったこともないんだ」
じっと目を見つめられる。
その燃えるような赤色に吸い込まれそうになるが、必死に顔をそらしてみないようにする。こんな態度をしていれば疑われそうなものだが彼女は納得したようだ。
「じゃあナルを探しに行こう」
「知り合いなのか」
すると、彼女・・・らいなと名乗る少女は驚いたような表情をする。本当に知らないのか疑っているような感じだが知らないものは知らない。よく目を覗き込むが恥ずかしくなってしまうことと、うそをつくとばれてしまうのではないかと思ってしまう。
ナルと呼び捨てにしているあたり知り合いなのだろう。
司令官だし、実際に話し合いのもナルだといっていたためトップとして話し合っていることから顔見知りでもおかしくない。
「君ってば本当になんのためにここにいるのかよくわからないよね。あれはもともとぼくのものなんだから返してほしいだけなんだよね。だって当たり前だろう、自分のものを取り返したいと思うのは当然の権利なのだから」
相変わらず1を聞くと10返ってくる人だ。
それにいまいち結局何が言いたいのかよくわからないことが多い。ぼくのものって言われても、赤の国の人のものなんてことがあるわけないだろう。
「あの子がどこにいるのかはわかってしまうんだよね。昔から人の前に出てくるのを恐れているおしとやかや子だけどあの猫かんが奪っていってしまったんだよ」
「話している感じだとおしとやかって思ったことないけどな」
「ナルが?」
珍しく彼女の口数が減る。
そして、一つの部屋の前に来る。
割と部屋の無駄遣いをしている家であるため使ったこともないただの一室だという印象を持っていた。鍵がかけられているから何かしらあるのだろうかと思っていたが。
俺たちの部屋からかなり離れた一室。
ここにナルさんがいるのか。
「ていうよりも、まじでいねえよ」
「ぼくにはここだという確信はあるけれど君にとってそれはまだわからないじゃないのかな。ナルの居場所がわからないのにどうしてそう言い切れる?」
「いろいろ俺にも確信をもてるものがあるんだよ」
突っ込まれると思っていたが意外にもそれ以上何も話してこないためらいななりに理解してくれたのか単純に興味をなくしたのか。
国の幹部がいる部屋にしては匂いがしない。
もちろん幹部が住んでいる家だから魔法の匂いはぷんぷんとしているのだが、その中でもかなり匂いが少ない部屋なため暮らしている可能性も少ないだろう。それにあまりにも他の人から部屋が離れすぎていてこれでは危険だ。
でも、もしかしたらいるのだろうか。
「ナル」
彼女が、ドアノブに手をかける。
その中の部屋は質素な部屋だった。パソコンばかりが並んでいて、それ以外に何もない無機質な部屋の中に一つの大きな絵が飾られている。
吸い込まれそうなほどに、真っ赤な、花の絵。
自分の国の色以外のものを飾るなんて他の人から差別的な目で見られ、自らも嫌がることが多いこの世界で、しかもアジトでこんな鮮やかな赤色が飾られているなんて想像もつかなかったが、美術に詳しくない俺でもわかる。
この絵は素晴らしいと。
「この絵は・・・」
「なんだ、ナルいないじゃないか。この何もないつまらない部屋からすると、ナルの部屋なことは間違いないのにどうしてここにいないんだろうね」
自分の色の絵が飾られているというのに気にするそぶりもない。
もしかして本当に赤の国とつながりがあるのだろうか。
そうなってくると猫かんと付き合っていた疑惑と赤の国の総長ともつながっているというとんでもない実力者との恋愛関係があるということだろうか。そうなってくると突然あったこともない相手に憎しみが感じられる。
づかづかとはいっていき、パソコンに手にかけた。
その瞬間、匂いがした。
「妹と言えどうちの司令官のストーカー行為をするなんて見過ごせないよ」
久遠を連れた総長が、部屋の外にいた。
「久遠無事だったのか」
先ほどまで魔力を吸われてぐったりとしていたのに総長の後ろでいつものごとく感情の乏しい表情で様子をうかがっている。
「あれは偽物」
そう聞いて、ほっとする。
実は久遠がどうなっているのか気になっていたのだが変にらいなの機嫌を損ねでもしたらとんでもないことになるかもしれないと恐れていたためだ。
「それにしてもいきていたんだね。らいなってば気分屋さんだから死んでてもおかしくなかったのに」
恐ろしいことを微笑みながら総長が言う。
ピンヒールで背中に穴が開きかけたけどな。
真っ白なワンピースを着た総長が真っ赤なドレスを着た少女と向かい合っているところを見ると対照的で美しい。
同じ苗字だったし姉さんと呼ばれていることから姉妹なのだろう。
「それにしてもぼくはナルに話があってきたのだけれど関係ないひとたちばかり来ないでくれるかな、それともナルのところに連れていってくれるというならうれしいのだけれど」
「勝手に敷地内に侵入していいと思っているの」
「どこかの誰かさんが手を抜いてくれた理由で簡単に侵入することが出来たしこの男も少しは楽しませてくれたからぼくとしては有意義な侵入だと思っているしこれは君たちのミスだよね。あまりにもわかりやすく入ってくれっていってたから罠かと思ったよ」
それは久遠が手を抜いていたということだろうか。
「とにかく、帰ってくれ」
ぴしゃりと総長が冷たい声で言う。そんなことはわかっているとでもいうように、冷たく引き離すような口調。
「はいはい。ナルに伝えておいてね、帰ってくる場所も、それと器も用意したって」
そう言い残してから、らいなは立ち去った。
「本当に君が無事なことが意外だったよ」
「無事じゃないこと前提かよ」
ふっと、らいなの匂いが消えると総長がベッドに腰かける。
奇襲を仕掛けるのは禁止だといっていたが、こうして何も損害がなかったり総長に影響がなかったら奇襲に当てはまらないらしい。
久しぶりに会うのに安心感がある。
「それよりもナルさんはどこに行ってたんだよ」
聞かないようにしていたことを、いい機会だと聞いてみる。今回は知らないということで見逃してもらっていたが、次は許してもらえないかもしれないしな。
「ナルは避難させているよ」
「つまり前から侵入されるってわかっていたってことかよ」
頷かれる。
だから久遠の偽物を用意していて、総長も久遠と一緒にいるようにしていて守っていることから用意周到だったことがわかる。
それにしても
「なんで俺を置いていってたんだよ」
『それについてはおれから説明させてもらうわ』
総長が持っているスマホから、あの黄色の国と戦った日からきいていなかった声を久々に聴く。初めて会うことになるのかと思っていたがまだ電話越しの会話になるようだ。
何かコンプレックスでもあるのだろうか。
スマホを机の上に置いて三人で囲む。
『おれは独自に赤の国の総長が単独で乗り込んでくるという話を聞いとったからまずはくるみを避難させて久遠の偽物をくるみに作らせとった』
「いや俺は?そんなに信用なかったのかよ」
思ったことをいってしまったが皮肉になってしまった。それにしても信用がないとはいえ相手の総長と二人で過ごしている時間があったのは少し不親切ではないのか。
『本来は猫かんがいる予定だった。そのフォローをする予定だったんやけど、思った以上に相手が結界を破るのが早かった・・・というよりもイレギュラーがあった』
「イレギュラー?」
「久遠が間違えた」
小さく手を上げて白状する。確かにらいなも、入りやすかったという風に言っていたため少し欠陥でもあったのか。
間違えることはあるから仕方ないとしか言えないな。
自分の身の安全が危なかったが、無事だったからいいとしようと考えている中、流れている変な空気に気付くことが出来なかった。
『そもそも昼間に来る予定だったのに夜中に来たのに加えて、赤の国の幹部がこちらの国に来たため猫かんを出動させた。でも本来は結界で入ってこれないはずだったがすぐに突破された。おれたちはアジトの外に出て避難をしとった』
「待て待て、その間に俺を起こしてくれよ」
『それに関しては申し訳ないわ』
「その役割は久遠に任せていたはずだよ。どうして久遠は起こさなかったの」
あっさりと謝ったナルさんに対して、総長が口をはさむ。
そう聞くと、結界がすぐに突破されたのにも加えて俺を起こさなかった久遠。ミスといっても少し重要なところが抜けているのではないか。
「久遠は佐倉くんはいらないと思う」
ただ、冷たい声だった。
彼女のほうを見ても、こちらを向いてくれずどんな顔をしているのかわからない。
「え」
『情報をリークしたんか』
「そんな方法久遠にはない」
「じゃあどこまでが久遠がしたことなのかな」
「佐倉くんを起こさなかったことと、結界に穴をあけた」
淡々と進んでいく会話についていけない。つまりは彼女は俺のことがいらないと判断したから赤の国の総長を部屋に招いたということだろうか。しかも、他の人たちが避難していることを知っているから他の人に影響がないと分かっている状況で。
計画的であることに余計に心をえぐられる。
少しの間だけでも一緒に過ごしていた相手なのに、こうして裏切られるとかなり心に来るものがあって残念だ。
「まぁそうだろうね」
『どうする、くるみ』
「ナルはどう思う」
『この事態で奏多が傷ついてしまったことは確かやけど久遠の魔法や貢献度を考えると追放することはできんから、久遠を奏多から離してこんなことが出来んようにすることが必要や思うで』
俺に対する心理的アプローチも行ってくれるなんて優しすぎてきゅんとくるんだが。
相手は男なのに、他の人たちからの扱いが悪いことから優しくされることになれておらず少しうれしくなってしまう。
あくまでこれは意見であって司令官としての命令ではなく重要なものは総長の意見だ。
「じゃあそれで」
適当だな。
『奏多もそれでええか?ごめんな、怖いやろうけどこういうことがないようにしたいと思っとるからちゃんと対応しとく』
ここにいる女性二人の視線が恐ろしいのに対して優しい声。
「え、えっと、わ、わかった」
「何そのきょどり方。ちょっときもいんだけど」
猫かんがあれだけしたっているのも理解できる。演技しているとかではなく、この人はどう考えてもいいひとだ。嫉妬していた自分が恥ずかしい。
こうして、久遠の裏切りは収束した。
彼女は、俺と目を合わせなかった。
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