第14話 矯正 (修正版)

「言っておくけど、今日はあたしが見てるからね。武、興奮しすぎて暴走しちゃダメだよ」

「い、いつも暴走とかしてないだろ」

「ふぅん……。ついこの間、『我慢できないから手伝ってくれ』って土下座してきたのにね」

「その話を人前でするな! それにそれは暴走ではない!」

「頭がぶっとんでなきゃ、このご時世に土下座なんてしないでしょ」

「……そうかも」


 俺は断じてリムに襲いかかるような真似はしていない。だが、スキル発動後には興奮状態にあるのは確か。抑えきれな欲情の処理をリムに協力してもらっている。

 先日は、『一人ですればいいじゃーん』とすげなく言いながらクスクス笑うリムに、土下座して頼み込んだ。うん、やっぱり暴走しているね。だが、後悔はない。リムの手は柔らかくて素敵だ。 

 というか、このあやふやな関係で、そういうことはしてしまってるんだよな。リムは処女ではあるらしいが、性的なものに対する恥じらいが一部欠けている。男の男の部分に触れるとかは、全然平気らしい。よくわからん感性だ。

 だが、まだ俺たちはまだ結ばれたことはない。リムがそういうことをしたい雰囲気を出さないからだが、それならばと俺も自制している。今の状態でも満足してるしな。


「ええっと……ぼかした感じだけど、つまりは、そういうことなんだよね? 二人って、やっぱり付き合ってるんだ……。そっか……高校生だもん、そういうこともするよね……」


 双山さんは顔を真っ赤にしている。


「ちょっとまどか。男の子が望むウブな女の子の振る舞いで武を惑わさないで。あげないよ」

「わ、私はそういうつもりじゃ……」

「わかってるって。焦らないでいいよ。ほら、緊張もほぐれた? まずはブレザー縫いで、ブラウスも脱ぐ準備」

「あ、うん」


 双山さんがブレザーを脱ぐ。うーむ、やはり、大きい。


「ジロジロ見るな。武、ベッドに座る。まどかのおっぱいを見る必要はないんだから、後ろから揉む形ね。前にまどかが来るから、その分の場所空けて」

「うん……」


 リムの指示で、俺も双山さんも動き出す。仕切ってくれるのはありがたいな。俺と双山さんだけだったら、オロオロするばかりで話が進まなかったかもしれない。

 俺がベッドに深く腰掛けると、その前に双山さんがやってくる。位置を少し調整して、俺の準備は完了。……リムのものとは違う、花のような香りが心地良い。


「はい、じゃ、前を開けて、ブラのホックも取ってね。全部は脱がなくていいよ。手を入れるスペースがあればいいんだから」

「うん……」


 俺の前で、双山さんがブラウスのボタンを外していく。それから、前を開いて後ろ手にホックを外す。自分でやっても意外とすんなりだな。

 リムは俺たちの正面に椅子を置き、そこに座っているのだが、双山さんを見てほぅっと溜め息を一つ。


「まどか、もしかして、結構きつめのブラしてる?」

「実は……。できるだけ小さく見せたくて……。でも、小さすぎると苦しいから、ある程度小さいのを……」

「なるほどねぇ……」


 ふむ。つまり、俺が見てきたおっぱいは、多少押しつぶされたものであった、と。その状態でも大きいのに、本来のサイズはどれほどのものなのだろうか。

 気には、なる。しかし……。


「ふはっ。武、本来の大きさがどれくらいなのか、気になって仕方ないって顔してるね! もう、やめてよね。そういう反応されるのが嫌だから、まどかはなるだけ小さく見せようとしてるんだから」

「……だな」


 反省。男の煩悩よ、今しばらく席を外してくれ。


「まどか、心の準備はいい?」

「……うん。大丈夫」

「じゃ、始めよっか。武、スキル発動」

「ああ、わかった。双山さん、大きさは、Cくらいが希望だったよね?」

「うん。それでお願い」

「了解。……スキル『おっぱい矯正』。技の二、『有明月』」


 両手にオーラが集まり、温かいものを纏った感覚になる。

 ブラウスの裾から手を差し入れ、双山さんの二つのおっぱいに両手をかざす。それだけで妙に興奮してしまうのは、俺も男の子だから仕方ない。

 だが、落ち着け……これは単なるスキル……やらしい意味などないんだ……。

 それにしても、この行為には大罪を犯そうとしている気分にもなる。おっぱいは小さくても大きくても素晴らしい、という持論を曲げるつもりは毛頭ないが、大きいものには大きいものの魅力がある。

 人類の大きな希望が一つ、いや、二つ、俺の手によって失われようとしている。俺がそれを実行する。

 ……ごめん、皆。

 誰にともなく謝罪して、俺は双山さんの両のおっぱいを鷲掴みにした。

 ……そして。

 施術を終えると、双山さんは体力の限界を迎えたのか、ぐったりして俺に背中を預けてくる。呼吸が乱れ、汗が噴出。危険はないと思うが……平常に戻るにはしばらく時間がかかりそうだ

 俺も疲れていたが、双山さんを放り出すわけにもいかず、しばしその体を支えていた。

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