第5話 初タッチ (修正版)

「……ところで、ブラってどうやって外すの?」

「見ればわかるよ」

「状況的に見えないんだけど……」

「じゃあ、手探りで。背中側の紐の真ん中にホックがあるから、外して。大丈夫、すぐに外せるから」

「えー? いいのか?」

「いいの。……もう、こっちだって結構恥ずかしいんだから、渋ってないで早くして」

「わかったよ……」


 怒られてしまった。ためらうのは当然だとも思うのだけれど……。仕方ない。

 覚悟を決めて、俺はブラウスの裾から両手を進入させる。途中で背中の肌に触れて……。


「んひゃっ」

「わ、え?」


 平良さんがビクリと体を震わせて、俺は思わず手を引き抜く。


「だ、大丈夫?」

「ご、ごめん、大丈夫。大丈夫だから。男の子に背中触られるって初めてだから、思わずびっくりしちゃっただけ。平気だから、続けて?」

「わかった……」


 深呼吸をして、再度両手を進入させる。なるべく肌に触れないようにと気をつけたが、やはり時折背中を擦ってしまう。


「んっ」


 強く触れているわけではないけれど、平良さんは触れる度にピクピクと反応する。……背中、弱いのかな?

 ともあれ、背中のブラ紐に到着。滑らかな布地にが肌に優しく、女性の下着って繊細なんだな、なんて思う。


「えっと……こ、これか?」

「ん、そ、そう。それ。外して……」

「わ、わかった」


 平良さんのくぐもった声に、俺の下半身はどんどん元気になっていく。

 勘弁してくれ……。流石にこんなものを押しつけてしまったら、平良さんから嫌われてしまう。せっかくできたトモダチなのに。

 ホックをいじっていると、確かに簡単構造のようで、すぐに外れた。


「そこが外れたら、あとはブラの下の隙間に手を入れて、おっぱいを触ることはできるから。……さ、どうぞ」

「お、おう……」


 ついに、このときが来てしまった。人生初、女の子のおっぱいに触れる機会。

 俺だって男の子であり、この瞬間を夢想したことは数知れず。妄想の中でも、夢の中でも、たくさんのおっぱいを揉んできた。

 しかし、それはただの空想で、こんなものかな……? という幻想でしかない。

 本物のおっぱいを、いざ、この手に。

 両手を滑らせて、前に持って行く。

 まだ触れてもいないのに、胸がドキドキして、呼吸が荒くなる。こんな至近距離では、気持ち悪いと思われるよな。ああ、でも、呼吸を止めたら酸欠になりそうだし……ええい、とにかく始めよう!

 スキル、『おっぱい矯正』発動。

 そう思うと同時に、両手が温かいオーラを纏ったようになる。また、初めて使うスキルだというのに、これからどのようにすればいいのかも、自然と頭に浮かんできた。


「……とりあえず、大きくするだけでいいんだよね?」

「うん。そう。乳輪の色がどうとか、形がどうとかは、今はいい」

「わかった。サイズの希望は?」

「……Cは欲しい。あ、やっぱりDで」

「了解」


 俺のスキルは、『おっぱい矯正』である。

 そのスキル名だけで概ね効果は理解できるわけだが、おっぱいのサイズを大きくしたり小さくしたりは当然のこと、乳輪の色を薄くするとか、半球型をお椀型にするとか、母乳の出をよくするとかいうことまでできる。

 俺のほぼ全てを見たという平良さんなら、その能力の範囲もよくわかっている。そして、今はただおっぱいを大きくすることを望んできた。

 そうであれば……。


「スキル『おっぱい矯正』。技の一、『望月』」


 ん? 自然と言葉が出てきたぞ? スキルってそういうものなのかな?

 初めてのことに戸惑うばかりだが……ともかく、僕は平良さんにスキルを行使した。

 どうやら俺のスキルはただおっぱいを矯正するだけではなく、矯正中にある程度の快感ももたらすものであったらしい。

 全てを終えたとき、平良さんは一際大きな声を上げた。

 何か、偉大な獣の産声を聞くような、恍惚とした気分にさせてくれる叫びだった。

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