第3話
エアコンは苦手だ。
汗が引いて冷えた体に、冷房の風は天敵だ。
だが!
こんなときは!
熱々の料理を食うべし!
「おじちゃんのパスタおいしそー」
「おじちゃんのパスタちょうだい」
「こらこら、おじちゃんじゃなくて、お兄さんだろう」
群馬県内で展開されているイタリアンレストランのチェーン店。
テーブルを囲むのは、谷田、谷田の娘ふたり、平岡の4人。
直接言われなかったが、平岡は薄々気づいていた。
世間の子どもは、夏休み。谷田が自分の子どもを放置するわけがない。
「あたしたち、学校のプールに行ってきたんだよ」
「プールたのしかった!」
姉妹が学校のプールに行っている間に、谷田はフィットネスクラブ。昼に合流。そんなところだろう。
「谷田さんの奥さんは仕事ですか?」
「ママはお仕事」
「ママは保育園の先生なの」
谷田の代わりに、姉妹が答えた。
「おじちゃんのパスタたべたい」
「ちょうだい! ください!」
「食べかけだよ? いいの?」
たべる、と姉妹の声が弾んだ。谷田は、代わりに自分のパスタをあげようとしたが、平岡は小皿に自分のパスタを分けてあげた。地元野菜のペペロンチーノだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます