四国を出ても、旅はまだまだ終わらない

 今日、四国を出る。結局、四国にいたのは9日間だった。四国は意外と広かった。それでも、最初の予定通り八十八箇所巡りをしていたら、あと一週間は必要だったと思う。



 朝、うどんを食べてから出発。前日の反省を生かし、今日は天ぷらを食べない。2日連続で腹痛にはなりたくない。

 四国を出る予定は淡路島へ行かず、中国地方へ行こうと考えている。今回は瀬戸大橋を通る。海と空、そして島が見渡せる絶景。晴れていて最高だ。

 周りの車は速度を出して走っているが、せっかくだから制限速度くらいで左端をゆっくり走る。


 与島パーキングに寄り道して、展望台から瀬戸大橋を見る。観光はあまり好きではないが、大きい建造物はワクワクする。瀬戸内海の島々も見渡せる。いつか行ってみたいものだ。夏あたりに時間があれば、島巡りするのも面白いかもしれない。



 瀬戸内海を抜け岡山へ入ったが、かなりの都会だ。交通量の少ない四国に慣れてしまったので、都会は面倒だ。岡山県をさっさと抜けて、鳥取を目指す。

 目標は大山だいせん。国道180号を2時間ほど走り、鳥取県に入った。その道の途中、明智峠という場所に展望台があったので休憩。山越はかなり寒いので、疲れた。とりあえず、タバコを一服して、展望台を見てみる。

 広大な山々。その中でもひときわ目立つのは白く雪のかかった壁のような山だ。きれいだな、なんて山なんだろうか、などとのんきに説明板を見ると大山だいせんと書かれている。

 なんということだろう。大山はまだ雪山だ。山頂付近なんかはかなり白い。おそらく、寒いし、通行出来るのかも不安になる。


 とりあえず、大山のふもとにある奥大山スキー場まで来た。看板を見ると通行可となっている。ライダーもすれ違ったので、問題なく通行できるはずだ。ホッとした。

 予想通り寒かったので、上着を着る。地上で20℃だった気温が14度。ここだけまだ冬みたいだ。

 走り始めてみると、道に雪は残っていない。日陰に雪が残る程度だ。こうなると、むしろラッキー。残雪の時期に走れるなんて珍しい経験だ。夢中に写真を撮ったり、ゆっくり景色を眺めたりしながら楽しんだ。



 しばらく走ると、宿やカフェなんかが集まった地区に着いた。少し一服でも入れようと思い、カフェに駐車しようとした時だ。してしまった。駐車場がちょうど横斜めになっていたのがいけなかった。サイドスタンドを出すために停止したときにバイクと一緒に倒れたのだ。最悪だ。

 立ちゴケすると混乱がひどい。唖然とし、ショックと反省で頭が回らなくなる。とりあえず、急いでバイクを立て直し、平らな駐車場まで移動。今度は安全に駐車して、バイクの状態を確認する。

 カウルが割れている。ステップも歪んでいるし、ブレーキレバーも曲がってしまった。特にレバーの湾曲はひどい。エンジンをかけ、ウィンカーの確認などをしたところ、幸い自走は可能だった。

 それでも、完全に安心できたというわけではない。やはり、精神的なショックが大きい。とりあえず、一服して落ち着く。タバコがあるとこういう時だけは助かるのだ。



 その後のツーリングあまり記憶がない。気持ちが落ち込んでいて、楽しい気持ちになれなかったことだけは記憶している。こんな日は飲んで寝るに限る。

 鳥取市内に少し高めのホテルをとり、繁華街で一杯。さらに部屋でも飲んでべろべろになってから、今日は就寝した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る