非効率だからこそ、一人旅は面白い

 今日は松山から高松へ。東へ進めばすぐの距離。でも、今回も寄り道をしていこうと思う。一度、四国の中央部を通り、高知県を目指す。目的地は、四国カルストだ。



 とりあえず、10時にホテルを出発。私は、出発時間としてはかなり遅いほうだと思う。もう一週間以上も旅をしているので、朝がつらいのだ。

 国道494号を進む。山間やまあいの道。交通量が少なく、カーブが多い。ありがちな景色だが、こういう道が楽しい。ただ、たまにネズミ捕りがいるから注意が必要だ。



 2時間ほど走り、ようやく四国カルストに到着。意外と近い。こうやって実際に走ってみると、四国は南北方向には小さいと再確認した。


 国道から四国カルストまではよくある峠道。しかし、山の頂上付近に来ると、突然視界が開ける。目に飛び込んでくるのは、白い岩肌と草原。山の頂上に草原。私の常識とは違う風景だ。山の頂上は狭い、そんな固定観念を覆された瞬間だった。

 だから、四国カルストの第一印象では「すごい」という言葉しか出てこなかった。残念なくらい幼稚な感想がが、それくらい感動的な風景だ。思わず、「すげえ、すげえ」と独り言を言ってしまうくらい驚いた。

 そんな風景の中を大好きなバイクと一緒に走る。もう最高だ。最高の風景、最高の相棒バイク。これ以上ないほどの満足だ。

 平日にもかかわらず、ライダーも多い。たくさんの「ヤエー」。四国に来てから一番ライダーを見たと思う。やはり四国カルストは偉大なのだろう。


 しかし、意外と小さい。結局2往復して、バイクの写真も撮ったが、1時間程度しか掛からない。それでも、1のために四国に来る価値があると言っても過言ではないだろう。



 四国カルストを堪能した後は、石鎚いしづちスカイラインからUFOラインを目指す。とりあえず、国道494号を逆戻り。時間的には、高知に行くには早すぎるし松山には戻りたくはない。松山は都会すぎた。私は適度な田舎が好みなのだ。


 愛媛県に戻り、石鎚山へ行く。石鎚スカイラインは延々と急カーブの多い山道。正直、あまり私の好みではない。峠を攻める人には楽しいのだろうが、私はスピードに興味がない。峠を攻めるよりも、ゆっくり景色を堪能しながら走りたいのだ。

 もしかしたら、私は乗るバイクを間違えたのかもしれない。私のバイクYZF-R25は峠を攻めたりするタイプのバイクだ。でも、便利なバイクなので乗り換える予定はない。高速道路の走行でも問題なく、ゆっくり走れるバイクだ。速度が出るバイクだからといって、早く走る必要などない。

 積載は厳しいが、工夫すれば問題もない。物を減らすこと、私のコンセプトと一致する。つまり、ちょうどいい相棒バイクということだ。


 さて、目当てのUFOライン。噂によると、四国カルストと並ぶ代表的なツーリングスポットのようだ。

 しかし、残念ながら通行止め。4/10から開通だったようだ。4日ほど早かった。次の楽しみにとっておこう。

 事前に調べておけば無駄足はなかったのだが、これも一人旅の醍醐味だ。非効率でも良い。一人旅なら誰にも迷惑をかけないから自由なのだ。



 今日は、高松で宿泊の予定。国道32号、途中に大歩危おおぼけという地名を見つけた。青看板には「かずら橋」。来てみたいと思っていた場所。思ったよりも近い。もう夕方なので、明日来ようと思う。

 ということで、宿を二泊分取った。うどんを食べ歩きできるし、ちょうどいいだろう。2泊以上するなら、荷物を置いておける個室が良い。なので、ゲストハウスやネカフェよりもホテルの方が融通が利く。急ぎで安宿を予約。当日予約でしたが、一泊3,000円くらい。安い!


 結局、今日は400km走った。

 疲れたので、夜はホテル近くのうどん屋へ。おでんとビール、しめに釜玉うどん。噂通り、香川はうどんが特別旨い。



 翌日、朝。まずは朝食にうどん屋へ。

 「手打十段うどん バカ一代」で釜バターうどんと穴子、卵の天ぷらを食べる。釜揚げうどんにバター、胡椒。美味い。

 香川のうどん屋は朝からやっているのだ。私は8時くらいに行ったが、スーツ姿の人もいる。出社前のサラリーマンだろうか。朝食からうどんを食べる習慣というもの良いものだと思う。

 ただ、朝から天ぷらは重かったようだ。少し腹を壊してしまった。



 体調が回復してから出発。大歩危までは80km、二時間弱で着く。

 まずは、祖谷いやのかずら橋。と呼ばれる植物で編んだ橋だ。長さは大体50mくらい。一応ワイヤーで補強してあるので、崩れる心配はない。

 写真で見たことがあったが、実物も迫力がある。原始的な橋。面白い景色だ。

 しかし、渡るのには550円も掛かってしまう。橋を渡るだけなのに高い、と思い諦めた。人も多かったことも原因だ。見れただけでも満足だ。


 それにしても、物産館の駐車場は有料だった。物産館をスルーして奥へ行けば、バイクを適当に停められるスペースがある。損してしまった気分だ。

 観光地はこういうパターンが多い気がする。こうやって手前の駐車場に誘導、けれど奥には駐車スペースがちゃんとある。今回は物産館だからまだ許せるが、ただの土産物屋だったりするとタチが悪い。



 その後は、奥祖谷おくいやの二重かずら橋を目指す。現時点からは40kmも距離がある。

 途中に落合おちあい集落展望台という看板を見つけ、寄り道。山の斜面に集落。山を切り開いたことがよく分かる。人間って逞しい。

 次は、名頃なころの「かかしの里」へ寄り道。走っていたら、突然現れた。村中にが溢れている。かつての風景を再現しているのでだろうか。かかし達は村の日常をを再現するように配置されている。

 せっかくなので、バイクを降りて写真を撮る。まるで人のように並んでいるので、面白い。夢中で畑の写真を撮っていたら、村人もいた。これだけが並んでいると、人とかかしの違いが分からなくなってくる。失礼な物言いだが、暗くなると気味が悪いと思う。



 寄り道をしていたので、2時間弱かかり、ようやく二重かずら橋に到着した。

 二重かずら橋はその名の通り、同じ川にかずら橋が2つ架かっている。別名夫婦橋めおとばしとも呼ばれ、男橋おばし女橋めばしがある。野猿やえんと呼ばれる人力ロープウェイもある。ここも入場料は550円。入場しないと橋が見えないので、お金を払う。

 早速、男橋を渡る。すごく怖い。見るのと体験するのとはやはり違う。ワイヤーが入っているのが、植物で編まれているので意外と。橋を歩いていると、下の川が隙間からよく見えるので、落ちそうな気分にもなる。高所恐怖症の方には無理だろう。せっかくなのでスマホで動画を撮りながら、渡った。

 ちなみに、野猿は故障中だった。残念だ。


 私はこっち奥祖谷の方が好みだ。変に観光地化していない感じがして、居心地が良い。自然に調和してかずら橋が掛かっている感じで好感だ。他に誰もいなかったというのもある。道が狭く、車で行くには面倒な場所なので穴場だ。



 あとは、小便小僧の像だけ見て高松へ帰る。

 余談だが、帰り道に金刀比羅神社に寄った。地元で「こんぴらさん」と愛称があるくらいだから、そこそこ大きい程度の神社だと思っていた。しかし、全く大きい。伊勢神宮くらいの規模で参拝道に店が並んでいる。もう夕方だったので、おとなしく撤退した。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る