手段ではなく目的

 今日からは盛大に寄り道。西予から松山までは直行で2時間もあれば到着できるが、せっかくなので四国最西端へ寄り道しようと思う。



 四国最西端、佐田岬さだみさきへ、佐田岬メロディラインを通って行く。走るとメロディが聞こえる道があるだが、残念ながらメロディは聞こえない。バイクのエンジン音にかき消されているのだろう。正直、微妙だ。

 でも、景色は良い。春らしく桜、そして海を見渡せる快走路。山桜の咲く山には風車。風が強いので、勢いよく回っている。


 佐田岬メロディラインを1時間程のんびり走り、ようやく佐田岬へ到着。ここも景色が良い。他の岬とは違った風景が見える。快晴のため椿山展望台から九州が見渡せるのだ。この景色を見ていると、九州にも行きたくなってくるが、今回は行かない予定だ。夏あたりに時間をとって行こうと計画はしているが。

 それにしても、意外と九州は近い。船ならすぐに着くだろう。一度は乗ってみたいものだ。

 その後は灯台へ。駐車場から灯台まではかなりの距離を歩く必要がある。バイク用の格好では暑いのだ。今回の旅では革ジャンを着ているので、かなり汗をかいてしまう。

 それでも苦労した甲斐はあった。島の先端にはやはり絶景が待っている。こういう最果ての景色が見たいから、私は端っこを目指すのだ。



 帰り道の途中、風の丘パークという看板に目を引かれ寄り道。風車のすぐ横を通る道。残念ながら行き止まりだが、景色は良い。いうなれば、四国のオロロンラインだろう。

 風車群の近くにバイクを停め、写真撮影。バイク乗りらしく、バイクと風車を同時に撮る。そんな写真を見て、自分のバイクはカッコいいと再確認するのがライダーの習性だ。



 道の駅「瀬戸農業公園」のレストラン風車で昼食。ちりめん丼-じゃこ天付き、1100円。

 しらす丼の上に温玉、ネギ、ワサビ。特製の出汁をかけて食べる。もう想像しただけでも、美味しいことが分かるような料理だ。じゃこ天も名産で、文句なしの美味さだ。また来よう、と思える味だった。



 夕焼け小焼けラインで松山を目指す。佐田岬から松山を繋ぐ海沿いの道。名前の通り夕日が綺麗な道なのだろうが、残念ながらまだ夕方ではない。それでも綺麗な海を見ながら走るというのはそれだけでも満足できるものだ。

 それでも、機会があれば夕焼けの時間を狙って走りたいものだ。


 途中、日本で一番海に近い駅「下灘駅しもなだえき」に寄った。海と駅のホームの写真が有名な撮影スポットだ。

 海のすぐそこにある駅。なんとも詩的ではないか。今日は快晴なので、素晴らしい景色が見られるのだろう。

 しかし、現実は違った。確かに写真を撮ると、まるで海のすぐそこに駅があるように見える。実際は、海と駅のあいだに国道を挟んでいて、そこまで海に近いわけではない。駅がちょうど高台に建っていて、加減良く国道が見えなくなっているというのが真相だ。

 考えてみれば当たり前のことだが、海のすぐそばでは線路も電車もダメになってしまうだろう。期待とは違ったので、少し残念だ。

 ただ、フォトジェニックとかとか(私にはよくわかりませんが)にはうってつけの場所なのだろう。多くの観光客が写真を撮っていた。

 ただ、夢がない話だが「写真の中だけで楽しむのが良いスポットである」というのが私の感想だ。



 松山に宿泊して翌日。今日は一日を松山観光に使おうと思う。バイクは基本なしで歩きで観光しよう。

 まずは松山城へリフトを使って登城。ロープウェイとリフトがあったが、待ち時間が少ないほうを選んだ。何よりこちらの方が楽しそうだ。

 松山城は街から見ると高く大きかったが、近くに行くとそこまで大きくもない。城内を見学したが、私が建造物や歴史に興味ない関係上、そこまでの感動はなかった。


 その後、30分ほど歩いて道後温泉へも行きました。ここでも一応入浴したが、私にはほかの温泉との違いも分からないし、感動するようなものでもなかった。



 結局のところ、私はバイク乗りなのだ。やはり、バイクに乗らないと楽しくない。観光するよりもバイクに乗っていたい。観光地は目的でバイクは手段、という考えとは全く逆なのだ。

 バイクに乗るために観光地を設定しているのだ。つまり、手段と目的が逆。私はバイクに乗らなければ満足できない人間なのだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る