2020’12/7~8『SF』で4作品・感想

ドラゴン・チェイサーズ ~追放先は龍の棲まう辺境の星でした~

武石雄由 様作


【あらすじ・引用】

銀河の辺境に開拓された植民惑星エンデラは、入植から三十年経ってもなお自立の気配なく、今なお本国の支援にたかり続けるお荷物惑星。しかも『龍』と呼びならわされる現地の巨大生物が時折暴れまわるというからたちが悪い。


そんな問題の星の住人たちも、負けず劣らずひと癖もふた癖もある輩ばかり。龍を仕留めることに執念を燃やすハンター紛いの保安官、怪しげな情報が飛び交うバーを営む義眼の女、本国に戻る日を指折り数える役人気質丸出しの責任者、ちっぽけな星の経済を牛耳る大物気取りのちょび髭オヤジ、等々。


そこに現れたのは、女遊びが過ぎて出世街道から転げ落ちた、元エリートのニヤけた青年。本国の宇宙港爆発事故の責任を押し付けられて左遷されたという彼には、どうやらそれだけではなさそうな雰囲気がつきまとう。果たして彼の登場がこの星に新たな風を吹き込むのか、それともさらなる混乱を巻き起こすだけなのか。


【読む前に”作風”を予想】

チェイサーとは、追う者、追撃者の意味らしい。 と、いうことはドラゴンを追う者たちがいるところに、追放されてしまった主人公の物語という事は明らかなわけだが。俺が思うに、この作者さんはモノによって作風を変えてくるのではないか、と思っているんですよ。スピード感を出すなら、会話が多め、重苦しさを出すならモノローグが多くなる。独特の個性を押したいのであれば、コミカルさも+される。なので、予想としては、コミカル×スピード感のある作風なのではないかと思います。


【印象に残った、感動、凄いと感じた部分】


これは!書き出しが好きですね。予想外です。世界観はモノローグや説明で語られることが多いのが、SFやファンタジー。しかし、この作品は「」で始まっている。ネタバレになってしまうので詳しくは書きません。冒頭「」には”注意を引く”という効果があります。これに対しての、主人公(もしくは登場人物)たちが反応を示している。これは、読者が、感情移入またはシンクロやリンクしやすい状況となる。つまり冒頭からいくらも立たないうちに、読者は物語の住人となるわけです。とても読みやすく、分かりやすい。こういう世界観の説明の仕方は、初心者には嬉しいです。SFが初めて、オリジナル世界にどうも苦手意識があるというかたに、優しい始まり方です。これなら読みたいと思わせる作品。


【自分が主人公の立場だったら】


5000文字まで読んでなのですが、これ面白い!

自分は映画版のトランスフォーマーが大好きなのですが、あの興奮を思い出した。

で、主人公の立場でですか?いやいや、こんなの勝てませんて。安全なところで、眺めているに違いない。


【物語のその先を妄想】


この後、どうなるのか。一ページ目と二ページ目でガラッと空気が変わります。恐らく、主人公にとってはファーストコンタクトなのでしょうね。初めての遭遇で、戦闘に参加できるとは思えません。しかし、物語が続いているという事から、これはまだ序章に過ぎない。自分が思うに、この主人公はゆくゆくはチームを作り、それぞれの個性を生かしたスタイルで戦うチームリーダーに成長していくのではないか、とおもっています。

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