11月『ヒューマンドラマ』部門・おススメピックアップ作品

推奨作品『異聞ー東方伝奇』作者:神崎あきら様

推奨作品部門『ヒューマンドラマ』


ヤクザというモチーフは、使い方によってこんなにドラマチックになるんだと感動した作品。この作品には、たくさんの人間ドラマが描かれている。自分が今回触れたのは、一話(ある一人の人生から派生する物語)だけであるが、不憫な境遇の主人公が、輝かしい、自分自身の人生を歩き始めるまでが描かれている。


この方は、非常に言葉のチョイスにセンスを感じます。意識して書くのも難しい時もあるとは思いますが、色、風、温度、光、音など、目に見えるもの肌で感じるものを丁寧にかつ、シンプルに表現している。なので、あたかも自分がそこに居るような、錯覚を起こす。


短編で感動させる作品は、確かに初めての出会いという事ではありませんが、感動とは”心を動かすこと”なのだと、改めて認識させられました。決して良い境遇ではなかった主人公は、ある日何処かへ、やられてしまいます。それが天国なのか、地獄なのか。その時の主人公には分からなかった。


モチーフの使い方が何故巧いと感じるのか。

意味があるんです。この作品は”ヤクザ”というモチーフだからこそ、表現できるものであり、良い意味で読者の期待を裏切ることになる。


え?こうなっちゃうの?


予想外の展開に、読者は驚かされる。

そして、ラストへ向けての展開もまた、予想外。


この物語は、会話が必然性で繋がっています。

短い言葉であっても会話だから意味を成す。

深い意味が込められているんです。


自分はレビュー師として、ジャンルではなく、ある分類をしています。

それは【効果、必然性、舞台設定、世界観表現、構成、意表、人物の個性】と言うような、物語の優れている部分の区分です。特化要素とでもいえば、伝わるでしょうか?


この物語は、何処をとっても優れている。

生きている。

物語に生命を感じる作品です。


是非、お手に取られこの感動を共有していただきたいな、と感じています。

きっと、あなたにとって宝物の一冊になるでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る