ひとしずくの海 -短編集-より『人形の恋』

硯 羽未 様作


【読む前予想】


ラブドール。だっちぃなわいふと意味合いは一緒だが、皮膚がシリコンで作られた高価なものらしい(ウェブ調べ)。その人形が、持ち主に恋をするお話なのかな、と予想。


【感動したところ】


この物語には、話しの中にしか主人は出てこない。従順で身代わりでも良いと思っている、主人公の人形。そしてその上に置かれたロリータ風の人形。彼はまったく正反対の主張を持つ。主人の愛した人は、この世を去ってしまったのだろうか。それくらいでなければ、人形まで作ろとは思わないのではないかと思うくらいに、主人公である人形を大切にして居ることが伝わってくる。しかし、本人がいないままに。そこが凄いなと思った。間接的に伝えるというのは、それなりの説得力が必要だからだ。よくこの少ない文字数でそこまで感じさせることが出来るものだと。ポイントを抑え、余計な事を入れないことで、ぎゅっッと凝縮された”愛”が詰まっていると感じた。優しい物語でもある。


【自分が主人公の立場だったら】


自分はどちらかと言うと、感情はこの女の子の人形に近いかも知れない。あなたはそんなにご主人のこと愛せて凄いわねえ。髪の毛とかしてくださらない?早いとこ。そんな事を思いながら、二人を眺める立場だろう。用途も違うので、混ざることはないとは思うが。


【物語のその先を妄想】


とりあえず、一緒にお風呂かな?ご飯は食べらえないので。

今夜も、きっと主人のぽっかりと開いた心を癒すために触れあうのだろうと思う。

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