魂の万華鏡 伊織 夢華様作

【あらすじ引用】

孤高の少女が大切な想いを守るため下した決断。

 その決断により悪意と運命が動きだす。

 そして悪意が次元を越え、違う世界のふたりを引き合わせる。


 残業終わりの帰り道、牧野琴音の日常は突然に断ち切られる。

 琴音は、魂に傷をおい記憶をなくしていた。

 名前が分かり、自分が死んだと理解したと時には、体の持ち主である少女の魂は消えた後。

 目の前に立つ者が元凶と分かり、琴音の憎悪が膨れ上がり闇が心を支配していく。



 琴音は名前を変え、見知らぬ世界で生きる。

 自分の記憶が無いまま少女の記憶に左右され、そして植えつけられた感情。

 手にした力も最強で、新たな人生は波乱万丈!

 翻弄され悩みながらも、出会った人達に影響され心が変化し自身を見つめていく。

 

 出会いに影響され、くるくる変化する彩りは魂の万華鏡。変わる心の彩りを見て感じてみませんか?


【良いところ三点】

1*一ページ目の構成が良い。

これから何が起きるのか? 冒頭で想像させその後に主人公の現代視点に一度戻る。異世界転生ものというと、転生後から始まるか転生の少し前から(事故に遭う部分)から始まることが多い。しかし、冒頭の”予感の効果”により、視点が戻っても分かりやすい。


2*少女との出会いから自分が身体の主となるまでについて。

この物語は発端を丁寧に描いており、それが同時に世界観説明ともなっている。どんな世界で、少女がどのような世界で生きていたのか? 主人公がこれからどのような環境で生きていかねばならないのか。背景がとても分かりやすい。この場面は、後の主人公の行動にも影響を与える役目も果たしている。

通常、異世界転生ものと言えば女神は転生者の味方であり、ゲームなどで言うならば”説明書の役割”を果たす。しかしこの物語では、常識を覆す展開が待っている。


3*不思議な物語である。

冒頭から主人公の心が穢れるまでの温度と救いが訪れた後の温度が一気に変わる。一貫しない部分が”万華鏡”ということなのだろうか? とても複雑な物語である。主人公の感情と記憶が深く結びつき物語に変化を与えているのだろうと想像した。変則的な流れの好きな人に好まれそうな物語であると感じた。

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