殴り聖女の彼女と、異世界転移の俺 加藤伊織様作
【あらすじ引用】
通学途中の事故で異世界転移をし、その際に空間魔法を習得した御厩条(みまや じょう)は、転移先の世界で少女が勇者パーティーを追放される現場に遭遇する。
「これ、WEB小説でよくあるやつだ」
そう思いながら条がそれを見ていたら、実は全然状況が違っていた。
その少女――サーシャは上位聖魔法の使い手でありながらステータスアップの補助魔法が何故か他人に掛からない殴りプリースト。しかも5倍掛けになるので勇者よりも強すぎて目立ちまくり、「殴り聖女」の二つ名を持っていた。
見た目も中身も純情可憐。但しドラゴンより強い。
そんな彼女に「ほぼ一目惚れ」してしまった条は、彼女を守ることを決めるが――。
神様のアクが強い! 可憐なヒロインは物理的に強すぎる! そして炸裂するアウトドア仕込みの飯テロ!
「生き直し」を受け入れたジョーは、異世界でサーシャと共に冒険をすることを選んだ。
【良いところ三点】
1*分かりやすく、親しみやすいネタを使用している。
作品に親しみやすくするためには、層を広げる必要がある。なるべく老若男女にわかりやすい素材(題材)を物語に盛り込む必要がるということだ。感情を動かし共感を得るためには、それについて多少なり知識の共有が必要となる。例えば何かを説明するのに、細かく書くよりもたとえを使って説明する方が分かりやすいというのが、それである。この物語は、冒頭から人の心を掴むためお馴染みの人に似た方が出てくる。
2*意外性でおや?と思わせる部分。
人は何がなく物を見ているものである。記憶に刻まれるのは、非日常や意外性。それは”疑問”を抱かせたり、”驚かせたり”した時である。するとそのことは深く記憶に刻まれることとなる。例えば、今まで食べたことのない変わった味の美味しいものを食べた時。ふとしたきっかけに思い出し、それを求めてしまうものである。この物語は、王道スタイルで異世界転生されるスタイルでありながら”追放系”の王道ではない。
主人公がこの先旅をすることとなる少女がとても変わった”理由”で追放されるため、印象(記憶)に残りやすい物語だと思われる。
3*コメディで重要(共感を呼ぶ)なのは”やりすぎ”による、読者から突っ込まれる要素。
感情を動かすのは高低差である。その中でも難しいのが笑い。そんなのありえない!(やりすぎでしょ)というツッコミどころが笑いに繋がる。この物語のヒロインは、強いのではない”尋常ではなく強すぎる”のだ。見た目は可愛い守ってあげたくなるような女のコでありながら、実際はドラゴンも一人で倒し、平然としている。この設定こそが人を惹きつけるのだと思われる。
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