浄化屋稼業で弱き人々を護る (略)緋村 真実様作

浄化屋稼業で弱き人々を護る ~揺るぎなき信念を心に秘めて~ 〔新たなる一歩〕


【あらすじ引用】

 この世に生まれた時点で、心身の何処かに欠損を抱える人間と、その欠損を補う物――倶纏くてん――が存在する世界。一日しか記憶を保つ事が出来ない少年、高天たかま詞御しおんは、倶纏である相棒のセフィアと共に、誰にも犯す事のできない唯一無二である己の真実の下に、犯罪者を捕まえる浄化屋を生業としていた。しかし、ある日、世間の情勢から組織が規定改定を行った事により資格が凍結される。解除する為の条件は高校を卒業する事。故に凍結解除の為、月読つくよみ王国にある養成機関の一つである高等部の編入試験を受け、無事に合格を果たし目的に一歩近づく。

 合格後、理事長室に案内されると、この国の女王――理事長――からとある事を提示される。それは、養成機関で代表の座を勝ち取り、もう一つの機関のパートナー同士で競う〝闘いの儀(レクシオン)〟で勝利する事。成し遂げれば一足飛びで高卒扱いにする、と。片割れは既に決まっており、女王の娘でもあり序列一位の依夜いよ

 だが、〝闘いの儀(レクシオン)〟には真の目的が隠されていた。それは――


一人の少年と少女。止まっていたそれぞれの時間が再び動き出す叙事詩。


【良いところ三点】

1*0-0にて、物語がどんな方向に向かおうとしているのかが分かる。

これから起きることは、国王の望んだことであり、深く国が絡んでいるということ。主人公が、この出来事に巻き込まれていくのだということも分かりやすい。国王と一緒にいる人物が他に二人。彼ら(彼女ら)も、もちろんこの事情を知っていると思われる。つまり、彼らもまた国王の望むことに対し、共に計画を進める協力者の可能性も示しているし、もしかしたら隠す側なのかもしれない。いろんな想像の膨らむ場面である。


2*1-1から始まっていく、世界観の説明などについて。

どんな状況で、なにが行われていくのか? ここにその都度、オリジナル要素について説明がなされている。オリジナル要素というのは、読者にとっては調べようもないものである。作者からの情報でしか想像は出来ないし、どんなモノか知る機会も得られない。このタイミングによっては、何だっけ? となることもある部分である。しかし、この作品では、その都度丁寧に説明がなされているので、とても分かりやすく読者に疑問を残さない。ここがとても素晴らしいところだと思う。

国の内情や主人公の置かれている状況なども初期の時点でわかって来るので、彼が今困った状況であることも(法律などが変わったことで)理解しやすい。


3*会話の中でわかって来る戦いについて。

ファンタジーなどは特に、頭の方に説明が多くなる。意識して分けているのかはわからないので、想像のみになってしまうが、国の内情や状況はモノローグなどで。会話からは戦況が伝わって来るので、別々の説明が同時進行しているように感じるが分かりやすいと思う。もちろん地の文には心情なども含まれるので、描かれているものは、それだけというわけではないが。()などの使い分けも見やすく分かりやすいと感じた。いろんな要素が組み合わさっているからこそ、分かりやすさも重視しているのではないだろうか? という印象を持った。

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