記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー コーヒー微糖派様作

【あらすじ引用】

祝! 完結!


 勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"

 その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。


 そんなところに現れた一人の中年男性。

 記憶もなく、魔力もゼロ。

 自分の名前も分からないおっさんと、その仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。


 記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。

 同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。

 ひょんなことから助けた少女や、変態神官との恋模様。

 やたらと癖の強い盗賊団に、変人ばかり揃った国王直轄の特殊部隊。


 そんな多くの人々と、紡がれる絆――


 その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。


【良いところ三点】

1*物語は記憶喪失後から始まる。

自分の置かれている状況すら分からず、容姿からおおよその年齢だけが見て取れる。記憶喪失の状況とは、想像しかできないが”目的”も”行くあて”も分からずホントに途方に暮れる状況なのだと思う。主人公も、どうしていいのか、何をしたらいいのかもわからずに、フラフラと一軒の家に近づいていく。

確かに、こんな状況の時は人に会いたくなるものかもしれない。誰かがいることに安心する。自分に目を向けてくれる人に安心を覚える。本能的に他者との遭遇を求め、救いや助けを求めるものなのかも知れない。

そういう意味でリアリティが持たせられていると感じた。


2*イトーさんの役割がとても素敵。

物語は一人いれば進むものでもある。だが主人公は記憶喪失なので、誰かの助けがないと生きていくのは大変そうである。ここで、最初に出逢った人が酒場のマスター。冒険もので酒場と言えば””出会いと別れの場所”だったり、”人々や噂の集まる場所”というイメージが強い。酒の勢いや仕事のリラックスした状態なら、知らない人とも仲良くなれるということを体験したことがある人もいるかも知れない。

そして親しみやすいイメージを持っているのも酒場のマスター。記憶喪失の主人公が酒場のマスターの世話になると言うのは、自然な感じがしていいなと感じた。


3*全体的に話の流れがナチュラル。

主人公は、記憶を失いフラフラと立ち寄った酒場で世話になる。ここで酒場のマスターの人柄の良さがわかって来る。ここで彼が東洋系なのには何か意味があるのだろうか? と思った。例えば日本人は世界から見ると親切な人々らしい。日本から米国なんかのイメージはフレンドリーかもしれない。人種のイメージを物語に組み込んでいる可能性があるのではないかと感じた。(実際にそうかは分からないが。あくまでも個人の感想なので)その親切な方から、ちゃんと事柄に関する人を紹介という流れになるので、突発的ではなく凄く自然な流れとなっていくのが良い。とは言え、登場人物は個性的。バランスも良いと思いました。

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