月詠の鏡と劔 大江戸月想奇譚 猫野たま様作
【あらすじ引用】
時は江戸時代の初期辺り。場所は大江戸浅草浅草寺(せんそうじ)そこから、物語は始まる。
古き月の他に新しき月があらわれ、江戸の町に不安があふれる。月詠という新しい月から生まれ落ちた存在に、里を抜けた伊賀の天才忍者才蔵は命を救われる。
次々と現れる個性の強いキャラクターたち。柳生家の双子、宗冬(むねふゆ)と宗春(むねはる)。天才陰陽師、土御門泰誠(つちみかどやすまさ)。そして、何処からか現れた古き四神(ししん)……青龍、朱雀、白虎、玄武。
彼らが時に競い合い、時に対立し、時に力を合わせて、襲いかかる様々な怪異に立ち向かっていく。
月詠が持つ抗いようがない力、仲間が増え、やがて……それは、大きなうねりとなる。
【良いところ3点】
1*まずはジャンルの組み合わせ。江戸にファンタジーを組み合わせるスタイルは、イメージのせいかも知れないが珍しいと感じた。しかしながら、竹取物語や、はなさかじいさん、桃太郎。古来の髪が出てくる物語などを思い返してみると、当時にファンタジーと言う言葉が使われていなかっただけで、それらは分類的にはファンタジーだと思われる。つまり、このかけ合わせは難しいものではないのかも知れない。そして江戸らしさが出ているにも関わらず、違和感なくファンタジーを取り入れているのが凄いと思う。
2*小タイトルへの拘り。ここも凄い点である。
江戸時代に使われていた言葉なのだろうか?下のほうにちゃんと一言意味もそえてあり、タイトルを読んで、どういう意味なのかな?と思いつつその話を読んで、最後になるほどというギミックがあるのは、なかなか乙なものだ。(気が利いていて、ちょっといいと思わせるさまなどを意味する)
3*会話文にはその時代らしさを出している上、言葉選びにも拘りを感じるにもかかわらず、読みやすい。ここはとても凄いなと感じる部分だ。通常、古風さ、時代らしさを出すと少し堅苦しくなり、読み辛くなることもあるが地の文のベースが読みやすいのでうまくバランスが取れているように感じた。
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