第184話 クロージング段取り

「それと、クロージング当日の段取りがこちらです」


 谷口は先程とはまた違う表を出してきた。クロージング日に確認すべき書面のリストだった。


 リストに記載されている書面は、払い込み前と後に分かれている。


 払い込み前に確認する内容は、

 ・株主総会および取締役会の議事録抄本

 ・登記変更届のドラフト

 ・表明保証確認書

 ・業務提携契約の効力発生条件となっている技術書面

 

 払い込み後に確認する内容は、登記変更届だ。


(ええ!?こんなにあるの?てか、全然見たことない書類ばかりなんですけど??)


「マイアミ様から必要な書面を提示しますので、当日京都にてご確認をいただきまして、問題がなければ払い込みを実施していただきます。契約書に記載の口座に銀行送金をしていただければと思います」


(銀行送金……よくわからないから、あとで経理部の四谷さんに相談しよう)


「着金が確認出来たら、クロージング完了です。マイアミ様はクロージング後に登記を行いますので、その結果は後日お渡しさせていただきます」


(……ええっと、書類確認し払い込んだら着金してまた書類確認で登記!?ちょっとまって、頭の中が赤信号で渋滞してますので……)


 完全にパニックになって思考が停止している真奈美を横目に、小巻は冷静に注文を出した。


「当日確認する書面は事前にドラフトを送ってください。こちらでも事前確認しておきます」

「わかりました。段取りします」

「あと、当日は株主名簿記載事項証明書も提出いただけますか。交付請求書が必要だと思いますので弊社で事前に準備します」

「わかりました。それもマイアミ様の弁護士と確認し対応検討します」


 真奈美は、会話についていけず、うんうんと形だけ頷いて難を逃れた。


(小巻がいてくれて本当に良かったよ~)

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