第177話 嵐の前の……Part.11①
山田と真奈美は、片岡本部長のお誘いを受け六本木のホテルの上層階へ上がっていった。
いくつか並んでいるレストランの中から、中華料理のお店に入ると、係が個室へ案内した。
部屋の奥面は大きなガラス張りの夜景。
中央に4人用の大きめの四角いテーブル(円卓でない)
片岡と佐々木が待っていた。
「お待たせしてしまいました」
「いやいや、私たちも来たところですよ。どうぞ、今日は気楽に行きましょう」
個室のため遠慮することもなく片岡はいつもように大きな声で笑って、そして店のスタッフにコース料理を始めるように伝えた。
(片岡さんがこんな素敵なお店をご存じなんて……)
真奈美は失礼なことを考えながら席についた。
「今回は本当にありがとう。おかげさまで、なんとかゴールできそうだ」
片岡のあいさつを受け、ウエルカムスパークリングで乾杯する。
続々と運び込まれる料理は、前菜に始まり、創作飲茶と続く。いずれも大皿ではなく人数分に分けられている。
かなり高級な中華料理店だが、所謂『中華料理』にとらわれていない。
そして、どれも見た目もすばらしい料理たちだった。
真奈美の表情は一気に明るくなった。
「酒井さんはよく食べるらしいね。どんどん食べてください」
片岡が笑いながら真奈美に告げると、真奈美はせき込みながら箸を止めた。
(なんか……前にも誰かに大食いと言われた気が……デジャブーを感じるんですけど)
真奈美が山田をにらむと、山田は視線を逸らす。犯人は明らかだった。
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