第175話 審議の行方
しばらくして、事務局をしている経営管理の元同僚からチャット連絡が送られてきた。
真奈美は、慌てて山田にそれを見せた。
『出資については反論は出なかったよ』
「これって……」
「事実上のGOサインだね。この後、投資委員会での決議は必要だけど、もう止められることはないだろう」
山田の回答に、真奈美は、満面の笑みを浮かべた。
「よく頑張ったね。ありがとう。まだ終わってないけど。これで山場は超えたと思うよ」
「はい、こちらこそ、ありがとうございました」
そして、その直後、ふたりは鈴木部長室に呼び出された。
「今回の件は、20日に投資委員会を開催してもらうよう佐藤本部長の許可をいただいた」
鈴木はぶっきらぼうに告げた。
佐藤経営企画本部長。鈴木の上司だ。もちろん山田や真奈美の上司でもある。
今回の経営会議はあくまで経営計画の審議であって出資の決議をとったわけではない。
出資については、佐藤本部長が幹事を務め、CFOが出席する投資委員会での決議が必要だった。
「わかりました。1週間ありますのでしっかり準備します」
「経営会議で異論が出なかったということだが、投資委員会ではどのような質問にもすぐに答えられるように、質疑応答を完璧に準備するように」
山田は平然と答えた。
「はい。心得ております。投資委員会での報告は鈴木部長がなされますか」
「うん、おれの方でやる」
こうして、鈴木部長から解放され、ふたりがオフィスに戻ると、真奈美は猛然と山田に詰め寄り質問を始めた。
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