第157話 折衷案
大津証券から押し返された主な論点は4つだった。
・SSAの表明保証:白馬「すべて」vs宮津「知る限り」
・SHAの拒否権:白馬「あり」vs宮津「なし」
・プリエンプティブ:白馬「あり」vs宮津「なし」
・譲渡制限:白馬「なし・タグとドラッグあり」vs宮津「あり」
「……で、対応策はできていますか?」
「はい、折衷案となりますが、提案をさせていただきます」
真奈美はTV会議の画面を、先ほど完成した打合せ資料に切り替えた。
「当面、両社は円満に協業が続けるための座組維持として優先順位が高い項目は当社の地位が希薄化しないこと、すなわちプリエンプティブと考えます。」
「うん」
「ただし、ある程度の期間が過ぎ協業状況が変わって両社が揉めたときはEXIT手の方が重要になります……」
真奈美は全開の打ち合わせで言ったことを再度繰り返した。
「確かに。以前もそういっていたな」
「はい。そこで、一定期間たつまではプリエンプティブあり且つ譲渡制限ありとすれば白馬と宮津の両案をそれぞれ採用できます」
「なるほど、1対1か。一定期間後は?」
「逆に、プリエンプティブなし且つ譲渡制限なし、とすることで、逆の1対1に切り替えます」
「はおー」
片岡がうなった。
「なるほど……座組を維持する期間を決める。確かに、合理的な考え方だな。どのくらいの期間がいいかな……5年ぐらいが妥当か」
「はい。ここが合意できるのであれば、表明保証は宮津案を、拒否権は当社案を提案し、こちらも1対1の形とします」
「うん。フェアな提案に思えますね」
もちろんまだ宮津精密が受け入れるかはわからないが、まずは折衷案を片岡に受け入れられ、真奈美はほっとした。
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