第11章 契約交渉
第142話 タームシート
月曜日。
真奈美は小巻にMA推進室の打ち合わせコーナーに来てもらった。
缶詰めになってタームシートを作るために呼んだのである。
「さてさて、やりますか」
小巻は打ち合わせコーナーに入ると、早速プロジェクターにワードファイルを映し出した。
「おお、もう作り始めてくれてるの?」
「まあ、簡単な表だからね」
(やばい……やっぱり小巻は頼りになるわ)
真奈美はぽーっとそんなことを考えていると、小巻にあきれられた。
「おーい……帰っておいでー……」
(やばいやばい、集中しなきゃ!)
真奈美は気合を入れなおして、小巻が作り始めているタームシートに視線を移した。
「タームシートはね、契約の条項概要を表の形でまとめたものよ」
いきなり契約本文で交渉を始めるとお互いの労力が大きくなりすぎるので、まずは概略表で大きな目線を合わせる必要がある。と、小巻は早口で真奈美に伝える。
「で、まずはSSA(株式引受契約)のタームシートから行きましょうか」
プロジェクターに写されたタームシートの項目はあまり多くはない。
①株式発行と引受内容(発行済株数、新規発行株数、株価、新株割当先)
②引受価格の払込み方法
③株式の発行手続(クロージング手続き)
④表明保証と補償
⑤クロージング前提条件
⑥その他一般条項
大部分は交渉するというより、しっかりと手続きを規定するという内容だが、交渉が必要な部分もある。
小巻は、④と⑤を指さした。
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