第141話 嵐の前の……Part.9

「かんぱーい」

「かんぱーい」


 真奈美と小巻は白ワインのボトルを注文し乾杯した。


「おお、きたきた」

「素敵!」


 オイスターバーの牡蠣尽くしコース、牡蠣を主体とした前菜盛り合わせがやってきた。


「やっと牡蠣の時期が来たもんね」

「うん、食べよう。食べまくろう」


 その後も、生牡蠣、焼き牡蠣、天ぷら、酒蒸しと牡蠣料理が続いて出てくるが、いずれもいとも簡単に二人の口に入っていく。


「おいしすぎる……」

「しあわせ~」


 こうして牡蠣料理を満喫しながら、ふたりはDD報告を振り返っていた。


「真奈美、相手の気持ちをほぐしながら説明するの、うまいよね。私だったら理詰めで押し付けちゃうところだわ」

「え?そう?ありがと。なんか照れるな……まあ、経営管理のときの経験かな。事業本部は押し付けるだけじゃ協力してくれない人たちだもんね」


 二人は苦笑いした。


「よくがんばったね。うまくいってよかったよ。まあ、真奈美がSSAをシェアサブって言ったことは一生忘れないけどね」

「ちょ……早く忘れろ。もっと飲め」


 真奈美は小巻のグラス一杯にワインを注いだ。

 そして、牡蠣クリームパスタがやってくる。メニューを見ると、まだ締めの牡蠣ご飯も来る予定だ。


「和洋折衷どんとこい!ボトルもう一本」


 こうして、久々の東京での女子会は夜中まで続くのであった。

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