第86話 がはははは
――早速、事業本部とのテレビ会議が開催された。
山田から簡単に状況を聞いた片岡は、感謝を述べた。
「ありがとう。一発で鈴木部長の決裁がもらえて本当に助かった」
「はい、今日決裁取れなかった場合は、GW中でも片岡本部長にご助力を仰がないといけないと思い冷や冷やしましたが、酒井さんが打破してくれました」
「おお、そうか。酒井さんの援護射撃があったのか。ありがとう」
片岡からの謝辞。
「……あの、片岡本部長。鈴木部長からは最終契約までにシナジー効果の妥当性、具体性を示すよう条件が出されました」
「確かに彼の立場なら問うべき要求だろうね」
片岡は想定の範疇と言わんばかりに落ち着いて聞いていた。
「私は、事業本部が数字を出してきたんだから責任もってシナジー実現するはずだと答えまして、このような宿題になってしまったんだと思います。すみません、出しゃばりました」
真奈美は頭を下げた。
それを聞いた片岡は、いつものように豪快に笑い飛ばした。
「がははははは!!」
……いつも以上の大笑いだ。
「そうか、だからあの鈴木さんも納得してくれたんか。それはよく言ってくれた。ありがとう」
真奈美は、思わず山田に顔を向けると、『ほら、ね』としたり顔だ。
「あの数字は私が承認した数字だ。私が責任をもって実現する。任せてくれ」
そのときの片岡の表情は、宮津精密の森社長と意気揚々と意見交換していた時と同じ、将来を期待するキラキラした表情だった。
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