第49話 散々なり~
「まず、この資料は誰が、誰に、何の目的でプレゼンするものだと考えている?」
真奈美は、山田から問われて、即答できなかった。
「えっと……当社から、宮津精密さんに、ですよね」
「うん。まあ、そうなんだけど。具体的な人物まで落とし込んで考えた方がいい」
山田は立ち上がって説明を続けた。
「しゃべる人が誰なのか。聞く人は?それによって、どのようなプレゼンの内容がよいのか、どのようなストーリー構成が良いのか、変わってくると思うんだよね」
「……はい」
「今回は、酒井さんがプレゼンする?それとも僕がやる?」
「えっと……」
「どちらでもないよね」
「……片岡本部長、でしょうか」
「うん、ぼくはそれがいいと思う」
――そもそも、M&Aとかいう前に、ビジネス協業の成立が不可欠、そのための事前面談なのだから、事業本部、できればそのトップの片岡本部長自らがプレゼンをいしてもらうのが一番良い。
(確かに、その通りだ。資料をまとめることばかりで頭がいっぱいになっちゃって、そこはMA推進部でプレゼンするとばかり思いこんでいたんだわ)
「そうしたときに、今の構成が良いのか、内容やメッセージ、ストーリー。全体的に見直してみてもいいんじゃないかな」
いつも通りの笑顔に戻った山田に対し、真奈美は自分の考えが至らなかったことを実感した。
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