第50話 適切な情報量

 その後も、山田からの暖かいけど鋭く厳しい指摘は続いた。


 社内ではなく社外に対しての表現・単語の使い方。

 1ページに載せる情報量。

 そして、ストーリー構成。


 確かに最初に結論すべてがわかるサマリーページがあれば、社内資料としてはわかりやすい。なぜなら、読者は説明内容を熟読し理解する義務があるし、事業上の背景はすでに読者全員の共通認識になっているから理解度が高い。


「でも、外部向け資料はそうとは限らない」


 山田は力を込めた。


「資料の序盤で興味を持ってもらえないと最後まで読んでくれないし、序盤の説明内容で少しでも消化不良な部分があると、読み手はそこで思考が止まってしまい、後半の説明は頭に残らない」


 つまり、情報量が多ければいいってもんじゃないってことだ。


「そういうときは、序盤はシンプルな課題提起、つかみやすい数値などアイキャッチの工夫が必要だし、その後のプレゼンも思考がオーバーフローにならないように適切な情報量を意識していく必要がある」


 真奈美は、確かに自分のプレゼンは、社内向けのガチガチな資料から抜け出せていないことを実感した。

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