第47話 新鮮なネタ

 翌朝、出社してすぐにメールをチェックすると、佐々木部長からの連絡が来ていた。


(遅い時間まで頑張ってくれていたんですね、ありがとうございます)


 真奈美はお礼のメールを返すと、佐々木の送ってきた資料を開いた。


~宮津精密との協業ネタ~

 ・当社製品の既存パーツの置き換え(品質とコスト次第)

 ・当社のコンシューマ以外の事業本部への紹介(あまり期待できない)

 ・生産効率・歩留まり・品質改善における協業(これは効果があるかも)

 ・宮津精密の拡販の手伝い(当社の販売網を活用できるか?)


 4つのネタに対し、簡単なポンチ絵をつけてきてくれている。

 結局、提案を受けるのも、提案するもの、本社が何を言おうと、事業本部が真剣に考えてくれない何も進まない。

 これだけは、経営管理でもMA推進部でもやはり変わらないのだ。


 真奈美は心から感謝した。


「さ~て、ここまで新鮮なネタを提供してくれたんだから、こんどは私ががんばって形にしていかないといけないわね」


 誰にも聞こえない小さな声で、でもいつもよりも強い気持ちを込めて、真奈美はそっと呟くと、黙々と資料作成をスタートした。


 山田との約束は昼休み明けの午後1時。


 3時間のタイムリミットとの戦いが始まった。

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