第45話 ニコちゃんドS

 午後になると、続々と情報や資料がメールで集まってきた。


(うん、いい感じね)


 真奈美は受領した内容を噛み砕きながら、宮津精密向け説明資料に盛り込んでいく。

 作業が進むと楽しいので、ついつい時間を忘れがちになってしまう。

 山田に声をかけられたときには、すでに夕方になっていた。


「精が出るね。捗ってる?」

「あ、はい。初めてなので自信はありませんが、とにかく一通り作ってみようと思います」

「うん、いいね。助かるよ。じゃ、明日に資料確認しようか、できそう?」


(そんな、着手して2日でレビューって、ちょっとひどくないですか〜?)


 と、表情に出たのか、山田は慌ててフォローした。


「午後でいいよ、午後で」


(それ、大したフォローになってないんですけど……)


「はーい、わかりましたよ。そこまでにできる範囲で頑張ります」

「うん、よろしく」


 山田は満面の笑みで答えつつ、続けた。


「それと、宮津精密との面談だけど、来週水曜日に決まったから。FAからメールが来ると思うから、事業本部の出張もアレンジよろしくね」

「はーい」


(次から次へと、容赦ない……)


 真奈美は山田がニコちゃんドSだということを改めて実感した。

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