「それでは、私から今回のプロジェクトを説明させていただきます」

　真奈美は自身で作成した説明資料を配布した。

「プロジェクトの名前はビーチ。情報漏洩防止への配慮から、会社名にはコード名が当てられていて、当社はハワイ、宮津機工はマイアミと呼ばせていただきます」

　そして、資料に沿って説明を続けた。

　普通であれば、真奈美のような係長クラスが事業本部長に向けてプレゼンを行う機会などほぼない。

　だが、真奈美は経営管理出身のため、これまでも何度となく事業本部長や本部の幹部との会議を重ねてきた場数があった。

　そのため、最初こそ緊張していたものの、プレゼンがスタートすると緊張感もほぐれて、滑らかでわかりやすいプレゼンを披露した。

「……以上が、今回のプロジェクトの概要です。ご質問等ございましたらお願いします」

　片岡事業本部長は満足した表情で応えた。

「うん、非常にわかりやすかったよ。ありがとう。さすが酒井さんだね」

「あ、ありがとうございます」

　山田もグーサインを真奈美に送る。

　真奈美は初陣を無事に終えて安堵した。

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