第20話 やっちゃった……

 あとは残業時間使ってでも一人で読み切ろう、と覚悟を決めた真奈美だったが、山田は意外にもそのまま資料をめくり始めた。


「じゃあ、ざっくりポイントをレビューしていこうか。わからないところがあったら、そのたびに止めて質問してね」


(……あれ?)


 真奈美はきょとんとして思考が停止した。


「……ん?どうかした?」


 山田は真奈美を振り返ると顔を覗き込んだ。


 はっ!と我に返った真奈美は思わず本音で応えた。


「あ、いえ、てっきりあとは読んどけと言われるんだと思ってたので……」


 山田はくすっと吹き出した。


「ははは。まあ、それでもいいけど。でもIM初めて見るんでしょ?」

「……はい」

「だったら、せめて概要くらいは説明するさ」


 真奈美は恥ずかしくなって顔を思いっきり赤らめてうつむいた。


(やっちゃった……)

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