第9話 あめと鞭
「じゃあ、他にM&Aで重要となる条項は何があると思う?」
「えっと、えっと……」
真奈美は、昨日山田が足早に説明した単語をなんとか思い出した。
「秘密保持期間とか役職員勧誘禁止とか……かな?」
真奈美がおそるおそる小巻を見上げると……
「すごーい!さすが真奈美!!やればできるじゃん!」
満面の笑みを浮かべほめてくれる小巻に、真奈美は照れ笑いを浮かべた。
「でも、まだ6問中1問しか正解してないからね!この次はもっとビシバシ行くからね」
ニコニコしながらスパルタ宣言。
「は、は~い……」
真奈美の笑みが、照れ笑いと苦笑のブレンドに変わっていった。
(これって……あめと鞭ってやつ?)
「ところで。ここまで色んな条項による制約があったと思うんだけど、これって誰が守らなければいけない制約だと思う?」
小巻はまた唐突に質問した。
「え、えっと、情報をもらった方が守らなければいけないんだよね」
「そういうこと。だから、情報をもらうことが多いケースでは、なるべく制約を外した方が有利なのよ。今回はうちがもらう方でしょう?だから、きつい制約はなるべく柔らかくしてあげないとね」
真奈美は、小巻のドヤ顔を眺めながら感心した。
(すごい、小巻……やっぱり弁護士っていうのは本当だったんだ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます